2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻。なぜ始まり、双方に犠牲者を出しながらどうして終わらないのか、池上彰さんと増田ユリヤさん2人に改めて解説してもらいました。
ロシアはなぜウクライナに侵攻したのか
編集部(以下、——) お2人の「YouTube学園」では、ロシアによるウクライナ侵攻に関して続々と動画を配信されていますが、そもそもなぜ、ロシアはウクライナに侵攻するのですか?
増田ユリヤさん(以下、増田) ウクライナは1991年に独立しましたが、かつてはソ連の一部であり、東部にはロシア語を話す市民も住んでいます。そのロシア系住民がジェノサイド(集団虐殺)を受けており、彼らを守るためにというのがロシア側の名目です。

池上彰さん(以下、池上) 実際のところは、欧米諸国の軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)がプーチン大統領にとっては脅威であり、緩衝地帯としてウクライナを勢力圏にとどめておきたいための強硬手段です。
——大統領の行動をロシア国民はどう見ていますか?
増田 独立系の世論調査機関の調べでは、国内の支持率は3月末で83%。高いですね。
池上 どこの国でも、戦争をすると指導者の支持率は高くなるものなのです。
増田 加えて、年配の方はプーチン大統領を「ソ連崩壊後の経済を立て直してくれた優秀な指導者」と思っています。
池上 プーチン大統領の就任後に、たまたまロシアの最大の輸出品目である石油や天然ガスなどの天然資源の価格が国際的に上昇し、経済が潤ったおかげなのですけれどね。