海外での食事事情・行きつけの店

── 仕事以外ではどんなところに行きましたか?

池上 NHKを辞めてフリーになったときにピースボートに乗って南アフリカへ行き、ソウェト暴動があった地区で1泊ホームステイをしました。反アパルトヘイト闘争のあった旧黒人居住区です。時間の余裕があった退社直後だからこそできた、貴重な経験でした。

増田 私はイギリスのオックスフォードで、出版社勤務の夫と保育園経営者の妻、小学生の子ども2人のご家庭に1カ月間ホームステイをしたことがあります。よくしていただいたのですが、奥さんがふくよかな方で、食事のたびに「なぜそんなにやせているの」と言われて、なんとなく夕飯が苦痛になって。外で食べるようになり、行きつけのタイ料理の店ができました。

── 海外で行きつけの店!

増田 何度も同じ場所に行っていると、自然になじみの店ができますね。ニューヨークで体調が悪くなったときに必ず行く、タイ料理屋もあります。タイ料理はあまりハズレがないです。

池上 私はパリに行くとカンボジア料理かベトナム料理の店に行きますね。インドシナはフランスの植民地だったから、パリの学生街の横に東南アジアの料理屋が並んでいて、味もいい。

増田 私はパリでは、高級ブランド店が並ぶサントノーレ通りにある中華屋で半チャーハンと餃子(ギョーザ)が定番です。ひとり旅だと、ついそうなりますよね。

池上 そう、フランスでフランス料理のコースを食べることなんて、まずないよね。

増田 池上さんは、旅先でもいつも書店に行くんですよね。

池上 ニューヨークのバーンズアンドノーブルは、定番ですね。ボーダーズは潰れちゃったのですが、10ドルを出して会員になると、1割引きになるので会員になっていました。

増田 私がよく行くのはパン屋さん。取材をしていると食事ができる時間にホテルに帰れるわけでもないので、パンを買っておいて、朝でも夜でも食べられるようにしておく。フランスではバゲットのコンテストが毎年あり、優勝すると大統領官邸であるエリゼ宮にパンを納められるんです。そういう店に取材の合間の時間に行ったりします。

── ホテルはどんな基準で選んでいますか?

増田 以前、パリの北駅近くでホテルを取ったところ、治安がよくない場所だったので外出時に怖い思いをしました。国際的なブランドホテルだったんですけれどね。以来、多少高くても、都会のど真ん中の治安のいい場所にあるいいホテルを選んでいます。その結果、車の手配や食事をする場所を教えてもらうなどホテルの利用法を覚えられました。バスタブがある部屋かは事前に聞きますね。取材をしてホテルに戻るとクタクタで、ゆっくり湯船につかりたいので。入浴剤も必ず持っていきます。

池上 バスタブは大事だよね。私は明かりも気になります。ヨーロッパのホテルって間接照明で部屋が暗いでしょう。原稿を書いたり本を読んだりするには不便で、浴室だけは明るいから、パソコンを持ち込んで原稿を書いたこともある(笑)。だから照明が明るいか、電気スタンドが借りられるかは気にします。

増田 ホテルに帰ってもやることはいろいろあるので、旅先では洗濯はしないことにしています。しっかり乾かなかったときの不快感も残ってしまうので、ホテルのランドリーやクリーニングを利用します。そういうところにはお金を使うほうかもしれないですね。