東西冷戦時代以来の緊張状態とも言われる世界の核兵器問題。何が問題で、解決策はあるのか、今回は池上彰さんと増田ユリヤさんに核問題の今を聞きました。
ウクライナ、北朝鮮…核の脅威が高まっている!?
編集部(以下、——) 核兵器を全面的に禁じた「核兵器禁止条約」の第1回締約国会議が6月に開かれました。今、世界に核の脅威が高まっているとは本当ですか?
KEYWORD 核兵器禁止条約
・2017年に採択、21年に発効
・核兵器を全面的に禁止
・核保有の5カ国は否定的
・日本は不参加
・22年6月に第1回会議が行われた
・核兵器を全面的に禁止
・核保有の5カ国は否定的
・日本は不参加
・22年6月に第1回会議が行われた
池上彰さん(以下、池上) プーチン大統領は、直接的な物言いではないものの、ウクライナ侵攻を始めるときに、「我々には非常に強い武器がある」と言ったり、「いつでも核兵器が使えるような態勢を取れ」とわざわざテレビカメラの前で国防相に命令したりと、核の使用をチラつかせています。
増田ユリヤさん(以下、増田) 核兵器で威嚇せざるをえないほど、北大西洋条約機構(NATO)を恐れているということでしょう。結局、そうした行動が逆効果になって、スウェーデンやフィンランドがNATO加盟を申請し、追い込まれたプーチン大統領が核を使用するのではと懸念が広がりました。
池上 プーチン政権は、ロシア国家の存続にかかわる状況になった場合、相手が通常兵器であっても、我々は核兵器を使うことがあるという戦略を何年も前にまとめています。戦争を仕掛けて来るなら、こっちは核兵器を使うぞという脅しですね。
増田 ただ、一時期に比べ、ロシアが核兵器を使う可能性は緩んだとの見方も聞きました。