番組中の発言で気をつけていることは?

増田 コメントを求められたときに言いやすい言葉で逃げないようにしています。聞かれたことに対して、「私はどう考えるか」を伝えないと、そこにいる意味がないと思うので。事前に調べて用意しておいたコメントの発表大会みたいにはならないようにしています。

池上 つい、あれも知っているこれも知っていると言いたくなりがちなんですよね。

増田 知っていることを全部話すと、かえって相手に言葉が届かないことありますよね。

池上 昔、「新聞記者は10を知って1を書け」と言われた時代がありましたが、コメントは「10を知って6か7を語れ」。10知っていればこそ、何が言わなければいけないことで、何が割愛してもいいことなのか判断できるということかな。

増田 相手に伝わるように話すことを大事にしています。ラジオ番組を作っているとき、姿形が見えないからこそ、映像が思い浮かぶように話せとよく言われました。そのためにはたくさん説明するより、ひと言で匂いや温度まで感じられる表現を意識しました。

池上 私が意識するのは、誰が見ているかということですね。ビジネスパーソンなのか、子どもなのか。例えば情報ワイド番組の場合、視聴者の年齢層や興味の範囲が幅広くて、テーマによって全然知らない人も、とても詳しい人も見ていたりする。どちらにも納得してもらえるようにするにはどうしたらいいだろうかと考えます。「知らないことを教えてあげるよ」ではなく、「ご存じの方もいらっしゃるとは思いますけど、実はこういうことなんです」という気持ちで話すようにしています。

【ルール】番組中の発言で気をつけること
事前に決めたことを話そうとしない。(増田さん)
コメントを求められたら、相手が何を聞きたいかをその場で考える。事前に準備したことの発表の場にしない。予定調和の発言に逃げない。

「ご存じだとは思いますが、実は」という姿勢。(池上さん)
視聴者にはそのテーマについて全く知らない人もいれば、とても詳しい人もいる。「ご存じだとは思いますが、実は」と切り出し、不愉快にさせない。