歴史をひもときニュースの現在地を私たちに教えてくれる池上彰さんと増田ユリヤさんはどんな本を読んできたのでしょうか。今年読んだ本、人生を変えた本、繰り返し読んだ本……読書の秋に贈る偏愛読書案内スペシャルです。
子どもの頃からのそれぞれの読書熱
編集部(以下、──) この連載では毎回お2人におすすめ本を挙げていただいていますが、以前から「忙しいなかでいつ読書されているんだろう」と気になっていました。
池上 NHK時代は、通勤時間を使って1日1冊のペースで読書していましたよ。今は仕事で「読まなければいけない本」に追われている感じですね。
増田 どんどんたまりますよね。気づくと、お腹の上に本を載せたまま寝ていたりします。
池上 最初の10ページくらい、著者の文章のリズムに慣れるまでは、読むのに時間がかかりますね。本当は仕事を離れてミステリーが読みたいんですが。
増田 お好きなんですよね。
池上 新人記者時代、先輩から「疑獄事件の構造を知るには松本清張を読め」とすすめられて読んだ『点と線』が始まりで……。そもそも、記者という仕事を選んだのも本がきっかけです。朝日新聞の記者たちが書いた『続 地方記者』を読んで、「なんて面白い仕事があるんだろう」と。
増田 いつ頃のことですか?
池上 小6のときに近所の本屋で、お小遣いで買いました。
増田 さすが池上少年!(笑)
池上 増田さんも子どもの頃からの本好きですよね?
増田 ひとりでいる時間が長かったので、親が兄のために買った、学研の『学習こども百科』とかを読みふけっていました。

