今の世界を理解するために知っておきたいキーワードを、池上彰さんと増田ユリヤさんが独自の視点で深掘り。今回のテーマは「女性政治家」です。
※今回の記事は、2021年9月22日時点でまとめた内容です。
国会議員の女性比率の低さ、とても先進国のものとは思えない!

編集部(以下、──) 11月には衆議院議員選挙がありますが(※編集部注:10月31日に決定)、日本の国会議員(衆議院)の女性比率は9.9%、190カ国中166位です。
池上彰さん(以下、池上) 驚くべき低さですよね。とても先進国とは思えない。

── 1位はルワンダで61.3%です。
池上 ルワンダは1990年代に激しい内戦で男性が激減したという背景も一因ですが、憲法で、「国の指導的機関の地位のうち少なくとも30%を女性が占める」ように定められていることが大きい。性別によるクオータ制(組織の一定比率を女性に振り分けること)を国政レベルで導入している国と地域は、世界で約120に上ります。
【クオータ制】
性別等を基準に一定の比率を割り当てる制度。男女間格差を是正するための方策。

増田ユリヤさん(以下、増田) ニュージーランド、デンマーク、フィンランドなど、女性が首相の国も増えています。
池上 比較的小さな国が多いですね。人口が少ないから、男女関係なく活躍する必要がある。
増田 その結果、議員を含めてさまざまな職場で産休や育休、保育園など、女性が働きやすい社会環境も整えられる。池上さんが注目する女性政治家は?
池上 ニュージーランドのアーダーン首相かな。
増田 先進国で初めて産休を取得した首相として注目を集めましたね。現在2期目です。
池上 2020年にコロナ禍で同国が非常事態宣言下となったとき、普段着姿で自宅からネット中継で国民の質問に答える姿が好印象でした。子どもたちに「イースターバーニー(復活祭に卵を運んできてくれるうさぎ)はロックダウンの対象外だから安心してね」と言っていた。
増田 私はカマラ・ハリス米副大統領が来年の中間選挙や将来の大統領選に向かうのかを注目しています。そして、やはりフィンランドのサンナ・マリン首相。フィンランドは、連立政権を組むすべての党のリーダーが女性という国ですから。
