女性議員のハードルを下げるには
── 日本も今回の自民党総裁選では、候補4人のうち2人が女性になりましたが……。
増田 そもそも女性が国会議員の立候補者に選ばれるのが難しい仕組みなのです。特に衆議院は小選挙区比例代表並列制で、全国300の小選挙区では各区の得票数トップの人だけが当選できます。そのため立候補者は現職優先で選ばれる。そして現職は男性の割合が多く、変化が起きにくいというわけです。
池上 参議院の女性比率が衆議院のそれに比べて高いのは、中選挙区制で、「複数の当選者が出るなら女性候補がいてもいいじゃないか」などと考えられやすいからなのですね。
── つまり、今のままだと「既得権益」のハードルが高すぎると……。どうしたら女性政治家を増やせると思いますか?
増田 まず、候補者を男女均等にすることです。今年6月に「改正候補者男女均等法」が成立しましたが、努力義務にとどまり、拘束力が弱い。
池上 強制力が必要ですよね。「女性候補が5割に達しなければ政党交付金を削減する」などの罰則を科せればいいと思います。副総理を女性にすることは、ただちにできますよね。
増田 女性議員にとって悩ましい問題である、「票ハラ」への取り組みも必要です。
池上 有権者や支持者から宴席で絡まれたり、選挙運動中に握手すると握ったまま放してもらえなかったり、育児休業を取ろうとすると税金泥棒と批判されたりすることだね。ようやく公に問題になってきたけれど……。
増田 法改正で、セクハラやマタハラの防止策を政党や国、自治体に求めることが盛り込まれました。これからですね。
「票ハラ」に苦しむ女性立候補者は半数以上
21年3月に内閣府が公表した報告書によると、立候補を検討中や準備中に有権者や議員などからハラスメントを受けた女性は65.5%。女性地方議会議員のうち57.6%が議員活動や選挙活動中に何らかのハラスメントを受けていた。
立候補検討中に受けたハラスメント行為

出典:内閣府「女性の政治参画への障壁等に関する調査研究報告書」