実は世界史を題材にした作品が多い宝塚歌劇。観劇がきっかけになってその時代の歴史にはまってしまう人も。世界史を清く正しく美しく伝える秘密に迫りました。天才ピアニスト、フランツ・リストの生涯を題材にしたお芝居『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』を池上彰さんと増田ユリヤさんのお2人が観劇。作・演出をした宝塚歌劇団の演出家、生田大和さんとのスペシャルな座談会をお届けします。

(写真中央)生田大和(ひろかず)さん
(写真中央)生田大和(ひろかず)さん
宝塚歌劇団・演出家。東京都生まれ、神奈川県育ち。2003年に慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、宝塚歌劇団入団。10年にバウホール公演、14年に大劇場公演の演出デビュー。海外ミュージカルを潤色・演出した『ドン・ジュアン』は宝塚歌劇以外でも上演された。歴史をテーマにした作品も多く手掛けている

男役があんなにかっこいい秘密は?

生田大和(以下、生田) いかがでしたか?

池上彰さん(以下、池上) 初めての宝塚観劇でしたが、いやあ、みんなが熱狂する気持ちが分かりました。野心にあふれ成功を追い求めるリストと、革命に身を投じるヒロインなど、人間ドラマが幾層にも重なっていてお見事でした。

宝塚歌劇とは
 阪急電鉄の創業者、小林一三(いちぞう)が1914年に創設。女性のみで構成され、劇団員は約400人。5つの組と専科があり、公演は芝居とショーの2本立てが基本。座付きの演出家がいる。

増田ユリヤさん(以下、増田) 私は歴史の教員をしていたことがあるので、貴族とはこういう人たちなんだとか、民衆はこういう思いで革命を起こすんだということが伝わってくる力がすごいなと感じました。

生田 ありがとうございます。