優しさと強さと勇気をくれる女性たちに拍手

池上 一度は収まったコロナ感染者数が、21年夏から秋に再び増えてしまった国も多かったのですが、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相の言葉に感心しました。子どもにも分かる言葉でメッセージを繰り返したことが印象的でした。

 かつてフランスのマクロン大統領が「コロナとの戦い」という言い方をしていたけれど、彼女は、国民に「Be Kind(優しくね)」って言ったんだよね、戦おうではなく。こういうときだからこそ優しく助け合いましょうと。コロナに感染した人は負けたわけじゃないってことなんだよね。トップの言葉ひとつで社会の空気は変わりますよ。

ニュージーランド首相 ジャシンダ・アーダーンさん
ニュージーランド首相 ジャシンダ・アーダーンさん
17年に37歳で首相に就任。19年のモスク銃撃事件では、宗教や民族の違いを超えた連帯を呼びかけ、コロナ禍では頻繁な情報発信で、国民から信頼を得る

池上 ノーベル平和賞を受賞したフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサさんも言葉の力がすごい人。逮捕や命の危機にもひるまず、ドゥテルテ政権を批判しました。

ノーベル平和賞受賞のフィリピンのジャーナリスト マリア・レッサさん
ノーベル平和賞受賞のフィリピンのジャーナリスト マリア・レッサさん
フィリピンのニュースサイト「ラップラー」社CEO。CNNマニラ・ジャカルタ支局長などを歴任。別件逮捕などに遭っても、ドゥテルテ政権への調査報道を続けている

池上 ドゥテルテ大統領が「麻薬犯罪者は裁判なしで殺してもいい」と法改正をし、フィリピンでは今ものすごい数の人が殺されています。彼女はそれを追及し、ネットニュースで報道し続けた結果、いわれのない容疑をかけられ別件逮捕もされた。それでも立ち向かうことをやめない。素晴らしい勇気の持ち主です。ネットニュースというのも現代っぽいと思いました。

増田 著作や発言を通して勇気を与えてくれた人として、上野千鶴子さんも挙げたいです。『在宅ひとり死のススメ』をはじめ、枠にはまらない生き方を肯定するメッセージに、懐の深さを感じます。

社会学者 上野千鶴子さん
社会学者 上野千鶴子さん
日本の女性学のパイオニア。NPOウィメンズアクションネットワーク理事長。「みな同じ」を強制されない、違うことで差別されない社会の在り方を提案し続ける

増田 結婚しないことや子どもを持たないことに社会はまだまだ否定的な面がありますが、上野さんは常に、おひとりさまだっていい、生き方は多様であっていいというメッセージを発してくれるので私自身も励まされています。

【池上さん】言葉は社会を変える力があるよね【増田さん】勇気をくれる言葉にもたくさん出合いました
お二人が選んだ7人の中に気になる人はいましたか?

構成/安原ゆかり 取材・文/中城邦子 写真/窪徳健作(池上さん、増田さん) イラスト/鈴木衣津子