日本はニュージーランドの3倍の園児数を受け持つ

「今の日本の制度は、保育士が多大な負荷を担わざるを得ない構造」と駒崎さん。日本の数値は厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第33条第2項、海外の数値はシード・プランニング「諸外国における保育の質の捉え方・示し方に関する研究会」(厚生労働省委託調査)報告書から抜粋
「今の日本の制度は、保育士が多大な負荷を担わざるを得ない構造」と駒崎さん。日本の数値は厚生労働省「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第33条第2項、海外の数値はシード・プランニング「諸外国における保育の質の捉え方・示し方に関する研究会」(厚生労働省委託調査)報告書から抜粋

―― 諸外国と比べて、日本の保育士が預かる園児の数が、3歳児以上では格段に多いことが一目瞭然ですね。

駒崎 僕はこの数字を官僚の皆さんたちに見せて、「4歳児を30人、一度に保育できる? やってみて?」と聞いているんです。今の制度は、保育士が多大な負荷を担わざるを得ない構造。保育士の心理的・物理的負荷を増大させるこの構造こそ、まずは解決しなくてはいけないと伝えたいです。

約束が守られていない配置基準の見直し 財源をどう使うか?

―― 子育て支援や少子化対策もカバーする「こども家庭庁」が2023年新設される予定ですが、このテーマも取り上げてもらいたいものです。子ども関連の公的支出についても、これまた北欧などの先進国に比べて日本は2分の1から3分の1という低さは長年指摘されていますから。しかし駒崎さん、このような現状は明らかに改善すべきだと専門家でなくとも分かりますが、保育士の配置基準について、行政は動かないのですか?

駒崎 いえ、もちろん僕たち保育関係者は声を大にしてこの問題について改善してほしいと訴えてきました。そして10年前の12年に、「社会保障と税の一体改革」に政府が合意し、その中に保育士配置基準の見直しが盛り込まれていたはずでした……