子ども時代からの「好き」を貫き、なりたい自分になる、というのは大変なこと。でも世の中には、そうした自分の気持ちを大切にし続け、夢をかなえる人もいます。こうした大人たちは、どのような子ども時代を過ごし、また親や周囲の大人たちからどのようなサポートを受けてきたのでしょう。初回に登場していただくのは、幼い頃からの大の恐竜ファンで、現在、国立科学博物館地学研究部研究主幹として、古生物学の研究に取り組む木村由莉さんです。「今も研究に向かうときのワクワクした気持ちは、恐竜ファンだった子ども時代と全く同じ」。そう話す木村さんの、「大好きな恐竜に関わる仕事をしたい」という夢をかなえるまでのストーリーについて話してもらいました。
子ども時代と変わらない、化石に向かうときの気持ち
古生物学者として、すでに絶滅し化石しか残っていない生物が、かつてどんな生き物だったのか、そしてどんな進化を遂げてきたかというプロセスについて研究している木村さん。
今も木村さんが研究に向かう際に感じているのは「化石の中から誰も知らない情報を引き出すドキドキ感」だそう。
「生き物はたいてい死ぬと分解されて土にかえるので、化石になるのは非常にレアなことです。そんな希少性の高い化石をたまたま自分が手にすることができたという、奇跡のような状況にすでに胸は高鳴るのですが、研究に向かう中でさらに感じるのが、化石からまだ地球上の誰も知らない情報を引き出すことへのドキドキした気持ちです。これは、子ども時代に『自分だけが手にする石に、とてつもない秘密が隠されているのではないか』と想像し、ワクワクしていた気持ちと同じなんです」
古生物学の研究に没頭する木村さんですが、古生物学者という仕事を意識し始めたのが7歳だった少女時代の、ある出合いだったといいます。
