課長相当職以上の管理職に占める女性比率は12.3%(※1)と低迷。欧米の一部の国では、上場企業役員の一定数を女性に割り当てるクオータ制が導入されていますが、日本では進んでいません。さらにフルタイム勤務者の男女間賃金格差は22.1%(※2)と、OECD(経済協力開発機構)諸国の中で4番目に大きい状況。こうした格差を埋めなければ、経済分野でのジェンダー平等の実現は難しいでしょう。3月4日に開催した「#ジェンダーの壁を乗り越えろ!日経xwoman×読者の編集会議」では、参加者が分科会形式に分かれ、「女性管理職の増やし方」「企業でのクオータ制」「賃金格差」の各テーマについて、課題と解決策を話し合いました。
良かれと思って負荷の低い仕事を与えられる
女性管理職が増えないのは女性のせい――? 「女性管理職の増やし方」について話し合った分科会グループでは、冒頭、このような疑問が提起された。
それに対してグループ内の参加者からは、「そもそも管理職になるための職務経験を積んだ女性が不足している」「家父長制の刷り込みにより、良かれと思って女性に負荷の低い仕事をさせてしまうこともある」「女性の仕事が固定化されている」などの声が続出した。
「管理職候補となる女性が(出産などで)退職してしまい、女性管理職を増やせないという構造もある。テレワークが未整備な企業もまだ多い。子育てと仕事を両立しやすい制度を整えることが重要」「男性の意識改革と家庭進出を進めていく必要がある」「長時間労働の撤廃はリーダーが率先して見本を示すべきだ」などの意見も出された。

企業の管理職として働く参加者は、解決策として「人事評価制度の公平性、働き方の柔軟性を高めることが大切」と提案。大学教授として働く参加者からは「『外圧』としてクオータ制の導入も検討していいのでは」との意見が出た。
また、地方公務員として働く参加者からは「都会と地方とでは状況が異なる」と、地方自治体の管理職の状況が語られた。
「外からは平等に見えるかもしれないが、まだまだだ。市区町村の首長の女性比率は約2%。都道府県議会における女性議員の比率も平均10%程度にとどまっている(※3)。地方自治体の場合、管理職女性登用を公約や議題にしても首長や議員の票になりづらいため、外圧が働きにくい構造。地方公務員制度を取り仕切る総務省から通達してもらう、などの圧力が必要ではないか」と訴えた。
■働き方の柔軟性と、人事評価制度の公平性をセットで高める
■女性が、管理職として必要な実務経験を積めるようにする
■上司が率先して長時間労働をやめる
■クオータ制を導入する
※2、OECD (2023), Gender wage gap (indicator). doi: 10.1787/7cee77aa-en (Accessed on 08 March 2023)
※3、内閣府男女共同参画局「女性の政治参画マップ2022」(21年12月時点)