独身女性やひとり親家庭の「貧困」が問題となっています。世帯所得の中央値の半分未満であることを示す「相対的貧困率」は、ひとり親家庭の48.1%(※1)。女性の場合、出産や子育てでキャリアが断絶され、その後の再就職が難しいことも原因といわれます。3月4日に開催した「#ジェンダーの壁を乗り越えろ!日経xwoman×読者の編集会議」では、「女性の貧困」「シングルマザー」のほか、地域活動などで感じる「身の回りのジェンダー不平等」について話し合いました。
余裕がなく、「簡単に見つかる給料の安い仕事」に就いてしまう
なぜ、女性は貧困に陥りやすいのか。「女性の貧困」の分科会では、さまざまな社会背景が指摘された。
例えば「年収130万円の壁」。年間の給与収入が130万円未満なら夫の社会保険の扶養に入ることができ、自身で社会保険料を納める義務は発生しない。ファイナンシャルプランナーとして働く参加者からは、「夫の扶養の範囲内で働きたいという女性は多い。配偶者が勤務先から受け取る家族手当や、(収入が一定以下の世帯が対象となる)私立高校の授業料無償化などをあてにして、あえてフルタイムで働く選択をしないケースもある」との声があった。
「とはいえ、家事育児などで日々忙しく、目先のタスクで精いっぱい。夫婦関係の継続が難しくなり働く必要が出てきたとき、結果的に『簡単に見つかる安い給料の仕事』に就いてしまう」。ほかの参加者からも、「日々、お金を稼がないといけないため、リスキリングをして上を目指す余裕がない、きっかけがない」「現役世代で低収入が続くと、貯蓄や年金額が少なく、老後にも響く。年を重ねるごとに貧困が加速してしまう」などの社会的構造問題が指摘された。
女性が貧困から抜け出すためにはどうすればいいのか。分科会では、「学びや資格取得などの努力も必要」という意見のほか、「貧困に陥ってしまうと自信を失うことも多いので、精神的なサポートや情報提供が求められる」「企業が女性を積極雇用する姿勢も大事」などのアイデアが出された。「自分も企業も社会も変わる。それにより女性を貧困から救うことができるのではないか」と締めくくった。
■学びや資格取得などの努力も必要
■自信がない人のため、精神的なサポートや情報提供を
■企業側が女性を積極的に雇用する
ほかの分科会のメンバーからも、「女性が貧困から抜け出すためにはITリテラシーをつけることが有効」「女性活躍推進が管理職育成や起業家支援に偏っている印象。貧困に陥っている人たちを救うには、リーダーや起業家以外の女性の意識改革に対しても、もっと支援が必要」などの意見が上がった。