子どもの人生を豊かなものにしてくれる「絵本」そして「児童書」の数々。日々読み聞かせをしながら親子で大切な時間を過ごしている人や、気づけば一人でページをめくり、自ら空想の旅に出るわが子の姿を温かく見守っている人もいることでしょう。そんな親子をつなぐ絵本や児童書の作家さんに登場してもらうリレー連載。大人からも子どもからも愛される人気絵本&児童書の創作の裏側や、作り手の思い、親子へのメッセージをお届けします。

 今回登場するのは、「パンどろぼう」シリーズや「しろくま」シリーズなどの作品で知られる絵本作家、柴田ケイコさん! イラストレーターとして活躍していた柴田さんがはじめての絵本を描いたのは、子どもが生まれてからのことだそう。絵本好きが高じて、子どもが小学生の頃は、学校で絵本の読み聞かせボランティアに参加していたとか。絵本制作の意外なエピソードや作品に込める思い、読み聞かせのコツなどについても伺います。

親子をつないだ寝る前の読み聞かせ

日経xwoman DUAL編集部(以下、──) 柴田さんの絵本はキャラクターたちにユーモアがあって、子どもたちはもちろん、大人の私たちもハマってしまう不思議な魅力があると思います。

柴田ケイコさん(以下、柴田) ありがとうございます。大人の方には「面白くてちょっとシュールなところが好き」と言っていただけることが多いです。

── イラストレーターとして既に活躍していた柴田さんが、絵本作品も手掛けるようになった経緯について教えてください。

柴田 はじめは「自分が絵本を描くなんて無理」と思っていたんです。クライアントから依頼を受けて描くイラストと違い、絵本は自分から発信するもので、物語を考える力も必要です。それに、絵本は時代を超えて作品として残ります。私にとって絵本は「雲の上の存在」だったんです。

 2005年に長男、07年に次男を出産し、絵本に触れ合う機会が増えると絵本が身近なものになりました。寝る前に読み聞かせすると子どもはすんなり寝てくれるし、私自身も絵本は好きだったので、これは一石二鳥だなと(笑)。イラストレーターの仕事と子育ての忙しい毎日の中で、寝る前の読み聞かせタイムが、子どもとゆったりと向き合える唯一の大切な時間になりました

 図書館の司書さんにお薦めの絵本を聞いたり、子ども自身に選ばせたりして、図書館に出かけるといつも絵本をごっそりと借りていましたね。

アトリエで創作中の柴田ケイコさん
アトリエで創作中の柴田ケイコさん
アトリエで創作中の柴田ケイコさん