小学校2年生から高校3年生までの11年間を児童養護施設で過ごした田中れいかさん。現在は「社会的養護」をテーマに社会活動に取り組むと同時にモデルとしても活躍しています。そんな田中さんに、「社会によって育てられた自分」を振り返ってもらいながら、よりよい子育て環境や子どもが育つ社会について思うことを、3回連載で語っていただきます。
「共育て」で社会は変わる?
はじめまして、こんにちは。田中れいかです。
私はモデルをしながら、親元を離れ「社会的養護」を受けて暮らしている子どもたちへの理解の輪を広げる活動をしています。「社会的養護」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、何らかの理由で親元で暮らすことができず、里親の元や児童養護施設で暮らしている子どもたちを社会の責任で保護し、支援をすることです。実は私自身も、7歳から児童養護施設で暮らしてきた当事者です。
たまに「施設育ちなんてかわいそう」と言われることがありますが、私は自分を「かわいそう」と感じたことはありません。私は親ではなく社会によって育てられる中で、施設の先生方はもちろん、学校の先生、習い事の先生、友達の親など多くの人と深く関わることができました。家庭で育つ子と自分を比べてどうとは言えませんが、施設育ちの子に共通のメリットがあるとすれば、いろんな人と知り合う機会が多く、人生のロールモデルを見つけやすいことかもしれません。
私はまさに、社会のみんなに育てられました。そして今実感するのが、この様々な立場の大人たちが一緒になって子どもたちを育てていく「共育て」の視点が広がると、子どもたちにも大人にも、よりよい循環が生じ、もっと豊かな社会になるのではということです。そんな「共育て社会」について考えるためにも、1回目の今回は私の生い立ち、そして施設時代に出会った大人たちについてお話ししたいと思います。
