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性の多様性とウェルビーイングを考える

トランスジェンダーの働く現状 同僚に知ってほしいこと

トランスジェンダー当事者が就活時や働く上で直面する困難とは

Terraceで話題!

性の多様性への認知度が高まりつつある一方、働く上で困難を抱える当事者は多い現状があります。誰もが安心して働ける職場づくりには、どのような壁があるのでしょうか。トランスジェンダー当事者で、LGBTQ(性的マイノリティー)のキャリア支援に取り組む認定NPO法人ReBitの代表理事を務める藥師実芳さんに、トランスジェンダーの働く現状について聞きました。

身近に当事者がいると認識する人はまだ少ない

日経xwoman編集部(以下、略) ReBitが2022年に実施した調査「LGBTQ子ども・若者調査2022」(有効回答2623人)では、1年以内に就職や転職をした451人のトランスジェンダー当事者のうち75.6%が、採用選考時にSOGI(ソジ、性的指向・性自認)ハラスメントや困難を経験したことが分かりました。この結果についてどのようにお考えですか。

藥師実芳さん(以下、藥師) 近年、性の多様性に対する認知度が徐々に高まってきているものの、自分の身近に当事者がいると認識している人はまだまだ少ない。そのため、就活の際に企業の採用担当者が性的マイノリティーでないことを前提とする質問をしたり、当事者からカミングアウトを受けたときに驚いたり、という意図しないハラスメントにつながるのだと考えています。厚生労働省の「職場におけるダイバーシティ推進事業報告書」(20年)では、2388企業の93%がLGBTや性的マイノリティーについて「多少は知っている、聞いたことはある」と回答していますが、現状との隔たりはまだ大きいと思います

 性的マイノリティーの中でも、出生時に割り当てられた性別と自認する性が異なるトランスジェンダー当事者が、就活で困難に直面する割合は特に高い傾向にあることも、ReBitの調査で分かりました。その理由は、就活時にカミングアウトせざるを得ない状況に置かれることが多いからです。トランスジェンダー当事者だけでなく、ReBitが18年に実施した「LGBTや性的マイノリティの就職活動における経験と就労支援の現状」 調査に回答したLGBT当事者241人の96%は「就活時にSOGIに関する困りごとを就労支援機関へ相談していない」としています。こうした困難が生活の困窮やメンタルヘルスの悪化につながる危険性があることを、政府や企業は認識し、対応していく必要があると感じています。

―― トランスジェンダー当事者であることを、就活時に企業に伝える状況になるというのには、どのような背景があるのでしょうか。

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