毎月値上げのニュースが相次ぎ、このペースで物価が上がれば、老後資金は大丈夫なのかと心配になる人も多いのではないでしょうか。また、数年前に話題になった「老後資金2000万円問題」をきっかけに、公的年金だけでは不足する分を、自助努力で準備しようと考える人が増えているようです。グローバル時代の私的年金制度について、ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが解説します。
公的年金だけでは足りない? 使いやすくなった確定拠出年金が人気
国の年金制度である公的年金に対し、公的年金以外の年金を私的年金と呼びます。寿命が延びて老後資金確保の重要性が高まる中、私的年金を活用して老後資金を補うことが注目されています。私的年金には、会社員の退職給付の一種である企業年金も含まれます。企業年金の中で、近年加入者が増えて存在感を増しているのが確定拠出年金です。
確定拠出年金制度は2001年に始まり、その後、加入対象者の拡大や、加入期間・受取開始期間の延長などの改正が行われ、多くの人にとって使いやすくなってきました。
今回は、22年に施行された確定拠出年金の制度改正を紹介しつつ、長寿化とグローバル化が進む時代の私的年金の在り方を考えてみましょう。
確定拠出年金には、企業年金の一種として企業が導入する企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)と、個人が自分の判断で入る個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)があります。いずれも公的年金を補う目的で国(厚生労働省)の主導で始まった私的年金制度で、税制優遇が行われることから、公的年金の加入者(厚生年金保険または国民年金保険の被保険者)が対象です。企業型DCでは、例えば正社員は対象で役員とパート社員は対象外など、加入対象となる従業員を導入する各企業が決めます。
企業型DCでこのところ増えているのが外国籍の加入者です。