大手企業を中心に広がっている「ジョブ型雇用」。雇用環境の変化を見据えて、今から準備しておくべきことは? 前編記事「ジョブ型導入が進む職種は? キャリアと転職の未来予測」で、パーソルキャリア執行役員で転職・求人サイトdoda編集長の大浦征也さんは「過去の強みに加えて、新しいポストの知見が、未来のキャリアの武器になるかどうかという視点を持つことが大切」と言います。後編では、ジョブ型における理想的なキャリア形成の考え方や具体的なスキルの築き方、ジョブ型がうまく機能しているかどうかを転職時に見極める方法について聞いていきます。
前編 ジョブ型導入が進む職種は? キャリアと転職の未来予測
後編 ジョブ型企業に転職 専門スキルない人は何から始める? ←今回はココ
ジョブ型における理想的なキャリア形成の考え方
雇用制度がジョブ型かメンバーシップ型かにかかわらず、キャリア形成における自分のスキルを整理するには、『スキルピラミッド』が役立つと、大浦さんは言います。
「仕事への取り組み姿勢や価値観となる『スタンス』という土台の上に、業界・職種・地域を超えて通用する『ポータブルスキル』があり、その上に、特定領域で発揮する専門性の高い『テクニカルスキル』があります。例えば、向学心と向上心、新しいことにトライするマインド(スタンス)があり、社内外問わず人間関係構築がうまい対人力のポータブルスキルがあるとしましょう。その上に、例えばITスキルという専門性の高いタグ(テクニカルスキル)を加えることで希少性が高まります。それぞれのスキルで自分の強みを磨き、掛け合わせることで、転職市場における価値は高まります」
未経験でも、AI(人工知能)エンジニアやデータサイエンティストなどの理系人材に挑戦できる余地はある、と大浦さん。
「例えば、集中力が高く細かな情報入力が得意だというポータブルスキルを持つ人が、PC入力の事務作業から、臨床医薬系開発領域のビッグデータ入力に少し軸足を動かして、専門性を高めた実例がありました。理系人材が人材不足となっている今、ITスキルを集中的に学べる教育サービスもたくさん出ています。一定期間オンラインで学んだスキルを持って転職をしたり、本業での実務経験はなくても副業で学んだことをキャリアに生かしたりするケースもあります」