働き方の多様化が進む中、リーダーには、進捗管理や部下のやる気の引き出し方で従来とは違った工夫が求められています。日本睡眠学会専門医の中村真樹さんは「睡眠不足が仕事のパフォーマンス低下につながっていることを、ビジネスパーソンはもっと認識したほうがいいのでは」と話します。連載4回目では新型コロナウイルス禍で増えている不眠について聞きました。
20~40代の「コロナ不眠」が増えている
コロナ禍も4年目となり、「リモートワークにも慣れた」「このままwithコロナで生活していくのだろう」と感じている人も多いかもしれません。しかし、日本睡眠学会専門医の中村真樹さんは「ここ数年のコロナ禍で、知らず知らずのうちに心身のストレスがたまっている方が増えています」と言います。
「実際に私のクリニックでも20~40代の不眠が増えています。コロナ禍で働き方や生活リズムが変わったことや、将来に対する不安を口にする人も少なくありません」
コロナ禍の不眠は主に「ストレス性不眠」「睡眠リズム障害」「アルコール性不眠」に分けられます。
「ストレス性不眠は、コロナの感染への不安、仕事や生活習慣の変化によるストレス、将来への不安などで精神的な緊張状態が続き、その結果、寝付けなかったり、中途覚醒が増えたりするものです。
睡眠リズム障害は、通勤のために早起きする必要がなくなったことで生活リズムが夜型になり、就寝時間・起床時間が乱れてしまい、自然に眠くなる時間が遅くなった状態です。また、毎日通勤していると、駅まで歩いたり、階段の上り下りが運動になったりすることが適度な疲れをもたらし、夜は自然に眠くなりますが、リモートワークの場合、通勤に比べて歩かないので運動不足になった結果、夜に自然な眠気が出にくくなることもあります。
アルコール性不眠は『家飲み』や『ストレス発散』で酒量が増え、アルコールの影響で眠りが浅くなったり途中目覚めやすくなったりしてしまう状態です」
この春には新型コロナが感染法上の分類で「5類」に移行し、少しずつ以前の生活が戻って来ると考えられますが、今のうちからできる対策はあるのでしょうか。
