女性活躍推進法が施行されて早や6年が経過しました。第一線で女性活躍を進める先進企業の事例もある一方、「実はうちの職場は何も変わっていない」という職場は多く存在しています。そんな職場に根深く残る「いまさら」な発言に対し、冷静かつ論理的に、改革の大切さや必要性を説明するときに使える台本(スクリプト)を用意する特集です。ぜひ目を通し、ここぞ、というときに使ってください。今回は「なぜ女性活躍が必要なのか?」と聞かれたとき、どう対応したらいいか、ジェンダー平等の実現に取り組むジャーナリストの浜田敬子さんに聞きました。
波風立てないようにしてきたから日本は遅れている
2015 年に女性活躍推進法が成立し、女性活躍推進のための取り組みを実施することが当たり前の会社も増えている中、ふと自分の会社に目をやると、上司が「なぜ女性活躍は必要なのか、いまいち理解できない」と言っていた……なんていう経験はありませんか? しかし「いまさら何を言っているの!?」と異を唱えたい気持ちがこみ上げても、いざ説明しようと思うと、どこから、どのように説明していいのかが分からず、あるいは、波風を立てたくないから何も言うことができず、モヤモヤだけが残って終わってしまった、なんていうこともあるかもしれません。
浜田敬子さんは、「どんどん波風を立てましょう」とアドバイスします。「ここで言う『波風を立てる』とは、けんか腰になれ、ということではありません。冷静に自分の声を上げることです。これまでは波風を立てないようにしてきたから、日本のジェンダー平等の実現はなかなか進まないのだと思います。これまで私もマイルドな表現を使ってきたのですが、はっきり言わなければ何も伝わらないということを何度も目の当たりにしてきました。実際、ストレートに伝えても伝えたいことの30%くらいしか伝わっていない気がします。だからこそ、これからは波風を立てて、みんなの声を顕在化していくべきだと思うのです」

では、具体的にどのように実践していけばいいのでしょうか。声を上げるだけにとどまらず、「データ活用」と「交渉」がポイントだと浜田さん。そのためには、データなどを集めておくことも大切だといいます。今回は、5つのシチュエーション別に、「なぜ女性活躍が必要なのか?」への疑問に対する効果的な返答の仕方など、多様な「波風の立て方」を紹介していきます。
【2】「女性の採用人数を増やすといっても、今以上に女性が来てくれるのか。男性の応募が減ってしまわないかも心配」という役員に
【3】「バリバリ働きたくない女性もいるじゃない?」という上司に
【4】「うちの女性活躍の施策に対してどう感じているのかを聞かせてほしい」という社長に
【5】産休・育休後もこれまでと同じように働きたいのに、上司に過度な配慮をされていると感じたら
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