「メナーキチェック」という言葉をご存じでしょうか。初経(メナーキ:menarche)を迎えた子どもが初めて婦人科を受診することで、フランスやドイツなど欧米諸国では一般的に行われています。小中高生に対する性教育に取り組んでいる産婦人科医の宮川三代子さんは、日本でもメナーキチェックが当たり前になってほしいと話します。子どもの初めての婦人科受診ではどのような診察を行うのか、病院の選び方、子どもが性について相談できる場所を持つことの大切さなどについて聞きました。
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「火消し」ではなく「火の用心」のために婦人科を受診してほしい
産婦人科医の宮川三代子さんは、今の日本の産科婦人科医療の役割について「火消し」的なところがあると言います。
「お産以外で産婦人科を訪れる理由は、計画しない妊娠、性感染症、子宮内膜症、子宮頸(けい)がんや卵巣がんなどトラブルの『火』を消すことが大多数です。火を消すには時間や費用がかかり、患者さん自身も大変な思いをします。
そうではなく、『火の用心』の医療によって、トラブルを防いだり、軽くすませたりできたらいいと思いませんか。それには若い時期から医療とつながって、情報を得たり、検査をしたりする習慣を持つ必要があります。そのために、子どもに初経が来たら婦人科に連れて行く。そんな習慣がぜひ、広まってほしいと思います」
宮川さんは、初めての婦人科受診をきっかけにかかりつけの婦人科を子どもに持たせてあげてほしいとも話します。
「赤ちゃんから小学生までの間、子どもはかかりつけの小児科で定期健診や予防接種を受けていたでしょう。病気ではなくてもかかりつけ医に会う機会があるので、悩みがあれば相談ができて、成長を見守られてきたはずです。しかし、だいたいの子は中学生くらいまでに小児科に行かなくなります。体が大きく変化する思春期に気軽に相談できる『かかりつけ医』がいない状態をなくしたいということも、メナーキチェックが広まってほしい理由の一つです。
年齢が上がり、自意識が強くなると『照れ』が出て、親が婦人科受診に誘っても抵抗を示すかもしれません。そのためにも、初経が来たころ(平均初経年齢は12歳 ※1)にかかりつけ医に出会っておけば、何かあったときも相談しやすくなります」
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