若者の離職はブランド力や福利厚生、給与などの面で魅力的に映りにくい中小企業にとって問題です。そもそも新卒での採用にも苦労することが多い中小企業。採用と定着には一工夫が必要です。若者の定着に成功した2社に話を聞きました。
3年以内離職率、5人未満の事業所では…
厚生労働省によると2019年3月に卒業した新規学卒(大卒)就職者の3年以内離職率は31.5%でした。
一方、上図から明らかなように事業所規模別で離職率には大きな差が出ています。1000人以上の事業所規模での離職率は25.3%ですが、以降は規模が小さくなるにつれて上昇し5人未満の事業所規模では55.9%となります。
リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥さんは上記データについて「就職する若者も採用する企業も、入社後の早期離職を最初から望んでいるわけではありません。しかし、事業所の規模が小さくなると、どうしてもリソースが限られるため、入社前に企業や働く人に関する十分な情報提供ができていなかったり、入社後もミスマッチを解消するための能力開発や異動などの打ち手が少なく、一人ひとりへのケア・コミュニケーションが不足しがちになったりする側面があるのではないでしょうか」と指摘します。
ない袖は振れない…という声が中小企業から聞こえてきそうですが、工夫の余地はあります。社長や役員の努力で若者の定着に成功した名古屋市の河合電器製作所(従業員数154人)と、広島市の堂本食品(同279人)の事例を紹介します。