新しい人生を歩み出して、新しい自分に出会えた
香取 僕はこれまで、いろいろなことを自分で決めてきたんです。絵を描くときもそうなんですが、自分の頭の中で会議が行われるみたいな感じで、これはやるべきか、やるべきじゃないかとか。けっこう自分で突き詰めて考えてやってきたんですよね。
でも最近、この1、2年かな。新しい人生を歩み始めたのもきっかけではあるけど、さらにコロナ禍っていうのもあってなのか……なにかこう、自分の視野をもっと広くしようっていう方向に変わってきているところがあって。
もうほとんど出展する作品は決まっていたタイミングで、僕の絵を管理してくれていて、展示も把握してくれている美術のスタッフが、最後の最後に「これどうしますか」ってスケッチブックを持ってきて。あ、持ってきてしまったぁ、と。
その時点では、闇と光の2つのエリアで構成するとか、くろうさぎをフィーチャーするとか、もう固まっていたので。どう思う?って何人かに聞いたら「今回のコンセプトに合ってるんじゃないですか」と。昔の僕なら「でもなぁ……」とかもっと考えたけど、彼らの声に一瞬でも引っ張られた僕がいるなら、OKにしよう、と。
自分と全く違うものには乗らないけど、ちょっとでも自分が揺さぶられるものだったらその声に乗ってみようとしている自分がいて。なんだか新しい自分に出会えている感じがしました。
―― アート作品の制作に当たっては、どういうものにインスピレーションを受けるのでしょうか。