「できるだけ自分の個展に行きたい」その理由
香取 一番はこれ、とは言えないけど、アートだと岡本太郎さん、横尾忠則さん、大竹伸朗さん、会田誠さん。展覧会に行って、そこで見たものからいろいろなことを吸収して、僕の引き出しに入っていますね。草間彌生さんとはアトリエで対談もさせていただきましたし。
大竹さんと会田さんの展覧会では、偶然、お二人にお会いしたんです。本当に偶然。あれ、あそこにいるのご本人じゃない? みたいな。大竹さんには「すみません、握手してください、香取慎吾です」と声をかけて一緒に写真を撮ってもらいました。
ちょうど大竹さんの展覧会(大竹伸朗展、東京国立近代美術館で23年2月5日まで開催。愛媛、富山に巡回予定)がやっているから、見に行きたいんですよ。でも、自分も個展を開催している期間中に行くってどうなんだろうって考えちゃって。ちょっとでも時間があれば、お客様に会いに来たいんです。僕自身に展覧会場で作家ご本人に会えたっていう経験があるから、できるだけ見に来てくれた皆さんにお会いしたいなって。
―― 他の作家の展覧会を見た後は制作意欲が湧いたり、すぐに制作したくなったりするんですか。
香取 すぐ描きたくなっちゃう。じっくり見たいのに、まだまだ先があるのに、入ってすぐ自分がもう描きたくなっちゃってぞわぞわしちゃいます。
今回の個展は「WHO AM I」というタイトルですが、自分で自分の、香取慎吾の追求をしました。僕を知ってくれている度合いは皆さんそれぞれで違うと思うのですが、もっともっと知ってほしい。自分でより深い扉を開けてみた、みたいな感じですね。僕が小学生の頃に芸能界に入ってからの気持ちは変わっていないところもあって。「皆さん応援してくださーい」っていう気持ちと「人気者になりたい」という気持ち。それはいまだに変わってないから。
―― 会場の後半には「愛」をストレートに表現した作品もありました。
香取 やっぱり僕自身、愛を持って生きているし、自分一人では何もできないから、周りへの感謝がないと。これからも『愛してます』と叫び続けたい。こういう自分がいるから、闇にも入っていけるのかな。
会場/渋谷ヒカリエ9階 ヒカリエホール ホールA
東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ
巡回/大阪会場(グランフロント大阪)23年4月~、福岡会場(福岡市美術館)23年7月~。石川会場(金沢21世紀美術)23年9月~、福島会場(とうほう・みんなの文化センター/福島県文化センター)24年3月~ ※すべて予定
取材・文/市川礼子(日経xwoman ARIA) 写真/吉澤健太