経営者やマネージャーとして組織をけん引する女性から、リーダーとして活躍するヒントを学ぶこの連載。今回話を聞いたのは、埼玉県桶川市で1887年から続く老舗和菓子店「五穀祭菓(ごこくさいか)をかの 」の六代目女将の榊(さかき)萌美さん(27歳)です。20歳のときに家業を継いだときは、長く勤めている従業員と方針が合わず、何度も衝突をしていたという榊さん。後継者ならではの課題や経営者として大切にしていることについて話を聞きました。

【上】27歳和菓子店元ギャル女将 1000万円赤字を黒字化
【下】元ギャルが老舗和菓子店元女将に 従業員との対立乗り越え ←今回はココ

榊萌美さん。アパレル会社勤務を経て2016年、20歳のときに家業の「五穀祭菓をかの」に入社し、六代目女将に。2019年、副社長に就任する。2021年に新ブランド「萌え木(もえぎ)」を立ち上げた。最近は英語の勉強にも力を入れている
榊萌美さん。アパレル会社勤務を経て2016年、20歳のときに家業の「五穀祭菓をかの」に入社し、六代目女将に。2019年、副社長に就任する。2021年に新ブランド「萌え木(もえぎ)」を立ち上げた。最近は英語の勉強にも力を入れている

家業を継ぐつもりはなかった

 ギャル系のファッションブランドでアパレル店員として働いていた榊萌美さんは、20歳のときに家業の老舗和菓子店「五穀祭菓をかの」に入社しました。

 「もともと、実家を継ぐつもりはなかったのですが、大学2年生のときに家業を父と共に切り盛りしていた母親が病気で入院し、跡継ぎ問題に直面しました。同じタイミングで、偶然会った小学校の同級生のお母さんから、『お店を継ぐと言っていたけれど、継がないの?』と聞かれたんです。

 そんなことを言った記憶はまったくなかったのですが、小学校の卒業式の様子を録画したビデオテープを見返してみると、『実家を継ぐ』と堂々と答えている自分がいました。ビデオテープの中の私は、夢もやりたいこともなく遊んで生きているそのときの自分より輝いて見えました。当時の自分の言葉を信じてみよう。そう思い、大学を中退して、実家を継ぐことを決意しました」