若くしてチームを率いる女性リーダーは、今までどのようなキャリアを歩んできたのでしょうか。本連載では、企業や組織をけん引する女性たちにマネジメント方法やマイルールなどを聞き、リーダーとして活躍するヒントを紹介します。今回お話を聞いたのは、米・ロサンゼルスで起業し、フードテック事業を展開するCashi Cake(カシケーキ)のCEOを務める三木アリッサさん(31歳)です。

(上)貯金200万円、20代で渡米し起業「和菓子を世界に」 ←今回はココ
(下)商品の3割盗難、資金ショート寸前…米国で起業後の苦悩

三木アリッサさん。2019年にCashi Cakeを創業。Forbes JAPAN 「今年の顔100人」(21)、Business Insider Japan 「Game Changer 2019」などに選出された
三木アリッサさん。2019年にCashi Cakeを創業。Forbes JAPAN 「今年の顔100人」(21)、Business Insider Japan 「Game Changer 2019」などに選出された

日本でなじみ深い海藻を活用したフードテック事業を展開

 米ニューヨークで生まれた三木アリッサさんは、家庭の都合で9歳まで日本と米国を行き来する生活をしていました。その後、本格的に帰国し、日本の中学、高校、大学を卒業しています。日本で外資系企業に就職した後、複数のベンチャー企業などを経て2019年、貯金200万円を持って単身渡米し、Cashi Cakeを創業しました。

 「日本はこんなにすごい国なんだと世界中の人に知ってほしい」という思いから、日本の伝統的なお菓子である和菓子を事業の柱に決めたといいます。

 「日本食にはよく海藻が使われており、海藻大国と言っても過言ではありません。ヘルシーでおいしい海藻は、環境問題に注目が集まり、健康意識が高まっている米国でも需要があると考えました。

 海藻って、実はすごいんです。海藻をはじめとする海洋生物によって吸収される炭素『ブルーカーボン』は、二酸化炭素の吸収源として活用する動きが世界中で進んでいます。日本は四方を海に囲まれており、海藻の藻場(もば)が多く分布しているため、他の国に比べてブルーカーボンに対する取り組みがリードしているといわれています。

 そこで、海藻添加物を加工する技術を研究し、和菓子と掛け合わせた商品『MISAKY.TOKYO』を開発しました。今は、和菓子をつくっている会社と思われがちですが、この技術を活用してさまざまな食品ブランドを開発し、環境問題の改善に挑戦していきたいと考えています」

 たった1人でスタートした会社も、今や50人以上の従業員や業務スタッフが従事し、日々忙しく働く三木さんの1日の過ごし方を聞きました。