中学受験には親のサポートが不可欠。でも、共働きのデュアラーは仕事との両立が大変! 自分なりには一生懸命やっているつもりだけど、本当にこれでいいの? そんな親たちが知りたいのは、受験生の親を経験した先輩デュアラーのリアルな体験談。

そこでDUALでは、受験を終えた先輩親に、共働き家庭での中学受験について根掘り葉掘り聞いてみました。リアル中学受験体験談をお伝えします(取材対象者はすべて仮名。学年や年齢は取材当時)。

《プロフィール&共通データ》

母:渡辺千枝さん(44歳・通信、仮名)

長女:渡辺芽生さん(2022年4月から早稲田実業中等部に進学、仮名)

【家族】 父(45歳・メーカー)

【通塾】 早稲田アカデミー 小3の1月から通塾

【受験校】 1月10日=栄東中◎  2月1日=早稲田実業中等部◎ 2月2日=青山学院中等部× 2月3日=法政大学中◎

【受験総費用】 約250万円

【習い事】 水泳(年中~小3)、ピアノ(年長~小4)、ヒップホップダンス(年中~小5)、英語(小2~小6)

【受験以前の家庭学習】 特になし

大好きな兄が通う学校に憧れ、迷いなく中学受験を選択

日経xwoman DUAL(以下、──) 中学受験をしようと考えたのはいつごろですか?

渡辺千枝さん(以下、渡辺さん) 実は私も夫も中学受験経験者で、大学付属の中高一貫校の出身なんです。中学、高校、大学まで、10代を共に過ごした友人とは今でも親しくしていますし、何より受験に縛られることなく伸び伸びと過ごせたことがとてもよかったと思っています。そんなこともあって、わが子にも中学受験をさせたいと考えていました。

 そして、長男は5年前に中学受験をして青山学院中等部に入り、現在は高等部に通っています。娘は兄が大好きなので、「お兄ちゃんと同じ学校に行きたい!」と、自分から中学受験をしたいと言ってきたんです。小学3年生の秋ごろのことでした。

―― 塾選びはどのようにしましたか?

渡辺さん 塾も兄が通っていた早稲田アカデミーにしました。元はといえば、私が中学受験のときに通っていたのが、早稲田アカデミーだったのです。授業は楽しかったし、よい先生と友達にも出会い、受験勉強がつらいと思ったことがなかったんですね。なので、わが子の受験も迷いなく早稲田アカデミーを選択しました。

 ところが今は、中学受験の学習内容自体が難しくなっていますし、やるべき量も私の頃とは大きく違います。当時、長男はまだ幼かったので、なかなか勉強を始めず、すぐに集中力が切れるなど、勉強をさせることだけで苦労しました。親の私が引っ張っていかないとどうにもならないという感じだったんです。

 初めての受験ということもあって、私自身の気が張っていたのでしょう。つい「どうして勉強しないの?」「やる気はあるの?」ときつい言葉ばかり言ってしまっていました。でも、5年生のある日、いつも明るい長男がしくしくと泣き出してしまったんです。これまでそんなことはなかったので、ハッと我に返りました。私の一言一言が長男を苦しめてしまっている、と。

 もちろん、勉強にきちんと向き合わせることは大切ですが、それによってやる気を失わせてしまったり、ましてや子どもを傷つけたりしてしまうようなことがあってはなりません。ですので、私自身は一歩引き、叱咤(しった)も、勉強をしているかどうかの確認も一切しないようにし、子どもがモチベーション高く受験勉強に打ち込んでもらうために生活面でのサポートに徹することに決めました。もちろんちゃんと勉強しているのかという不安は最後までありましたが、ぐっとこらえ、口には出さないようにしました。本人や塾を信じたのです。