2021年に育児・介護休業法が改正され、22年から「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度がスタートしました。かつての「ママのワンオペ」が当たり前のように見られた時代から、少しずつですが、着実に「パパが主体的に育児する」時代へと歩みを進めています。

また、新型コロナウイルス下で働き方も見直され、それぞれの家庭が自分たちに合った家族の在り方を追求するようになりました。そんな多様化するパパやその家族の今に迫る本連載。今回は、管理職の立場で1年間という長期の育休取得に踏み切った、リブセンス経営戦略部長の斉藤右弥さんが登場。育休を経て逆に「仕事が楽しくなった」と語りますが、一体どういうことなのでしょうか。

■今回のパパ
斉藤右弥さん 42歳
会社員(リブセンス 経営戦略部長 IR責任者)

■家族構成
妻 37歳 会社員(飲食関係 営業事務)
長女 1歳4カ月

ふと頭をよぎった「ずっとこのままでいいのか?」

 長野県生まれ、青春時代から音楽が大好きで、社会人になって上京してからもライブハウスに足しげく通い、野外フェスにも参加していたという斉藤さん。

 充実した日々を過ごしていましたが、30代も後半になったある日、ふと「この先も、ずっとこのままでいいのだろうか」という思いが頭をよぎったそうです。

 「確かに毎日楽しく過ごしていたものの、この先もずっと同じような日々を送るのかと思ったとき、『他にやりたいことはないだろうか?』と考えたのです。そのとき、周りに育児をして楽しそうな人がいたこともあって、私も家庭を持ち、子どもを育てたいという思いが芽生えました」

 ほどなくして出会ったのが、今の妻でした。年齢も比較的近く、それぞれが自立していたこと、趣味を大切にするタイプといった共通点もあって気が合い、1年ほどの交際を経て、2021年に結婚。妻が妊娠したことが分かると、斉藤さんはすぐに育休を取ることを模索し始めます。

 しかし、斉藤さんは管理職という立場もあって、悩ましい問題がありました。担当していた業務が非常に細かく、そして多岐にわたっていたため、引き継ぎが大変だったこと。さらに、組織改革など会社の重要なプロジェクトに中心的な立場で関わっていたことから、後任が簡単には見つけられなかったのです。

 しかも、できるだけ長く、しっかりと育児に携わりたいと考えていた斉藤さんが目指した育休期間は「1年」。斉藤さん自身も内心「そんなに長く取って大丈夫だろうか」という不安があったそうですが、それでも育休を取る以上は可能な限り長く育児をしたいと考えていました。

画像はイメージです
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