2021年6月、育児・介護休業法が改正され、2022年10月から「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度がスタートしました。かつての「ママのワンオペ」が当たり前のように見られた時代から、少しずつですが、着実に「パパが主体的に育児する」時代へと歩みを進めています。

また、新型コロナウイルス下で働き方も見直され、それぞれの家庭が自分たちに合った家族のあり方を追求するようになりました。そんな多様化するパパやその家族の今に迫る本連載。今回は、長女の障害が分かったことをきっかけに、それまで育児にはノータッチだった姿勢を返上し、子育てに積極的に取り組むようになったパパに登場してもらいます。

■今回のパパ
新井誠さん 39歳
会社員(エバーセンス 育児アプリ「ninaru」「パパninaru」などの広告営業)

■家族構成
妻 39歳 会社員(旅行会社勤務)
長男 9歳、長女 6歳

新婚早々、母親と同居

 埼玉県浦和市(現さいたま市)で生まれ、職人の父親とそれを手伝う母親のもとで育った新井さん。両親は基本的に新井さんがやりたいことを応援してくれていたそうで、サッカーなどの習い事も積極的にサポートしてくれたとか。そういった家庭環境もあってか、新井さんは子どもにしてはちょっと変わった趣味もあったようです。

 「僕が子どもの頃はいわゆる競馬ブームで、テレビでよく見ていました。サラブレッドが美しく疾走する姿にハマって、馬券こそ買えなかったものの、家庭用ゲームやゲームセンターで競馬ゲームをするのが大好きな子どもでした。当時は、本気で馬に関係する仕事に就きたいと考えていて、大学も東京農業大学に進み、馬術部に入りました」

 ただ、就活に入るともっと違う世界を見たり、経験したりしてみたいという気持ちが強くなって飲食業界へ。しかし、そこまで将来性を感じられなかったことから退職し、当時勢いがあったIT企業に転職します。

 そこでは仕事にのめりこんだ新井さん。社内で立ち上げた広告営業部門を上司とともにスピンアウトさせる形で、20代半ばで独立起業に加わることになりました。

 両親が比較的高齢で生まれた一人っ子だったこともあって、若いパパに憧れていたという新井さんは、起業と同じタイミングで当時付き合っていた彼女と結婚しました。

 「妻とは中学の同級生で、中3から付き合い始めました。大学時代に一度別れたのですが、社会人になって再会して再び交際することに。そのときはもう結婚を視野に入れていましたね。

 年齢もそうですが、育った環境がほぼ同じなので、色々な価値観が近いことは正直ラクです。お互いディズニーが好きなことや、モノよりコトにお金を使うなど金銭感覚も似ているので、ケンカすることも少ないですね」

 しかし、結婚する前に新井さんの父親が亡くなっていたこともあり、新婚早々、母親と同居することに。妻も母親のことを中学時代から知っているとはいえ、同居となると難しい部分もあるはず。問題は起きなかったのでしょうか?