中学生でモデルを始め、10代でファッション雑誌の専属モデルに。今では女優として数々の映画やドラマに出演、BS松竹東急のドラマ「À table!(ア・ターブル)~歴史のレシピを作ってたべる~」では、主演の藤田ジュン役を演じている市川実日子さん。「自分がモデルになるなんて、思ってもみなかった」という市川さんに、これまでのキャリアを振り返る話を聞きました。
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プロの姿に感銘を受けモデルの道へ
モデルになったのは、姉がきっかけです。2歳上の姉が15歳くらいからモデルを始めていました。妹がいるというと、「会ってみたい」と言われたそうです。何度か雑誌編集部から電話をいただいたのですが、全部お断りしていました。姉が出ている雑誌は見ていましたが、自分がそれをやってみたいとは、考えたこともありませんでした。
友だちがモデルに興味を持っていて、「友だちと一緒なら……」という気持ちで、美容室のカットモデルの撮影をしたのが最初の仕事でした。たしか、14歳くらいだったかな。その時の撮影が衝撃的でした。カメラやメイクの方、たくさんの大人が全員こっちをじーっと見て「こうしたほうがいいかな」「もう少しこうしてみよう」と話し合っているところがすごく格好良くて。
まだ中学生ですから、親と先生以外の大人と接する機会なんてありませんでした。だから、漠然とした「大人」というものが怖かったんですよね。お誘いの電話をもらった時も、どこか怖かったのかもしれません。でも、真剣に撮影をしている大人たちを目にしたら、怖いという気持ちよりも……、中学生ながらにプロの姿をとてもすてきだと思ったんです。
しかも、その大人たちのまなざしはモデルの私を向いているわけです。カメラを向けられるのは恥ずかしかったけれど、その先にいる大人は格好良い。
恥ずかしいという気持ちはなかなか消えませんでしたが、格好良い大人たちと一緒に、私もものづくりに関わりたかったのだと思います。「表に出る」というより、「何かものをつくりたい」という気持ち。その時自分ができることはモデルだったから、じゃあそれを頑張っていこうという流れでモデルを始めました。