2022年11月に育児休業から劇場復帰した、お笑いカルテット「ぼる塾」の酒寄希望さん。お笑いの道へ進んだのは、新卒入社した会社を辞め、落ち込んでいるときに見たお笑いライブがきっかけでした。そんな酒寄さんに、ぼる塾結成前の20代で「やめたこと」「始めたこと」を聞きました。

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酒寄希望さん
酒寄希望さん
さかより・のぞみ/1988年、東京都出身。お笑い芸人。2012年に田辺智加とお笑いコンビ「猫塾」を結成。その後19年2月に育児休業に入る。同年12月に、お笑いコンビ「しんぼる」のきりやはるか、あんりとともにお笑いカルテット「ぼる塾」を結成。22年11月に育児休業から劇場復帰した。著書に『酒寄さんのぼる塾日記』『酒寄さんのぼる塾生活』(ともにヨシモトブックス)

弱い自分を変えたくてお笑いの道へ

 子どもの頃はおとなしくて、人前に立つのが苦手でした。小学校の卒業アルバムには「将来の夢はお笑い芸人」と書いたけれど、それは仲の良かった友達が書いていたのをまねただけ。その後はお笑い芸人を目指すのではなく、大学卒業後に一般企業へ就職したのですが、1年も持たずに退職することに。

 「会社を辞めたのは、自分の精神が弱かったからだ」。そう自らを責めては、落ち込む毎日でした。見かねた友人が「気分転換にお笑いのライブに行こうよ」と誘ってくれたのが、ルミネtheよしもと(東京・新宿駅南口にある吉本興業が運営する劇場)でのライブでした。そのとき見た舞台がすごく楽しくて。「私も、この人たちのような明るく楽しい人になりたい!」と思ったんです。

 弱い自分を変えたい。もっと明るい人間になりたい。お笑いを学べば、自分を変えられるかもしれないと、NSC(吉本総合芸能学院)に入りました。そこで出会ったのが、同期生だった田辺さん(ぼる塾の相方、田辺智加さん)です。