コラムニスト、作詞家、そしてラジオ、ポッドキャストのパーソナリティーとして同世代の本音を語ってくれるジェーン・スーさん。“女性の成功譚(たん)”を聞きたい、と新著『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』(文芸春秋)で、田中みな実さんや一条ゆかりさんなど13人の女性にインタビュー。さまざまな困難に直面しても、彼女たちを成功に導いたものとは?
(1)女の成功には“正解”がたくさんある
(2)諦めてはいけないのは夢よりも自分自身 ←今回はココ
(3)セルフプロデュース力を上げるコツ
会社を辞めた後の30代半ばは「闇」だった
「私にとって成功とは、自分がやりたいことをやって人に喜ばれること。その結果、自分の『居場所』をつくれること」と定義するジェーン・スーさん。「私がコラムニストになったのはアラフォーで、遅いデビューだったからこそ書けたことや築けた信頼関係が多く、タイミング的にはベストだったと思います。ただ、自分のことをもっと信じてあげて、早くから始めればよかった」とも。
コラムニストになる以前、ジェーンさんはレコード会社などで働いていて、「自分から何かを取りに行くということをしなかった」。会社を辞めた後の30代半ばは「闇」だったという。
「レコード会社の後に眼鏡屋さんに勤めて、そこも辞めた後、30代半ばで実家に戻りまして。1年ぐらい実家で過ごしてからまた一人暮らしを始めた38歳までは、結構きつい時期でした。不穏というか不安定というか、人生があまりうまくいっていなかった。そういうときにできることは、目の前の課題の精度をあげることだけ。無理して芽を出そうとも、うまく回そうとも思いませんでした」
「毎日つつがなく生きる」の先にも成功がある
ジェーンさんは、「私自身も夢は特になかった。明確な夢がなくて全然構わない」と断言する。なぜなら、「夢がなくても幸せに生きることはできるから。もちろん夢があるのは素晴らしいことだけど、夢を持てた時点で8割成功したも同然ですよね。ほとんどの人は毎日つつがなく生きていくことが幸せ。だから、そのつつがなくの先に成功があったというパターンも少なくない」。新刊で取材した13人の女性には、「結果として成功した」人も多い。
「夢を諦めちゃいけないって、よく言いますけど、夢は諦めてもいいと思うんです。大事なのは持っていた夢を手放すか持ち続けるかではなく、自分自身が“それを手にする力がある”と信じること。諦めてはいけないのは夢よりも自分自身」