長野智子さんが今回話を聞いたのは、2022年夏に民放労連初の女性委員長に就任したフジテレビの岸田花子さん。ドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」が話題の今、長らくテレビ業界に身を置き、長澤まさみが演じる主人公同様に冤罪(えんざい)事件も追ってきた長野さんが、男性が意思決定層の大半を占めるテレビ業界の問題点と未来を考えます。

結婚後の異動辞令、今思えば…

 大ヒットした長澤まさみさん主演のドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」(カンテレ制作・フジテレビ系)で、テレビの制作現場がかなり男性中心に描かれていたこともあり、あれって本当なの? と私自身、聞かれることが多かった。さすがにドラマのようにプロデューサーから「ばばあ」と呼ばれるようなことはなかったけれど、現実的にテレビ業界、特に番組制作現場に女性が少ない状況は続いている。数年前までは15人ほどの打ち合わせで、女性はMCの私1人ということは珍しいことではなく、むしろ日常の風景だった。

 世界経済フォーラムによる日本のジェンダーギャップ指数が、主要先進国の中で最下位であることが毎年話題になる。いつまでも意思決定層に女性が増えない日本。世論を動かす力もあるメディアが男性中心組織であることが少なからず影響を及ぼしているのではないかということは常々感じてきたことだ。そんな中、2022年夏、日本民間放送労働組合連合会(民放労連)の委員長に、結成以来初となる女性が就任した。フジテレビ社員の岸田花子さんである。

 「労組の委員長はタフな仕事なのでなり手がいないんですよ。火中の栗を拾ったっていう感じ」

 と笑う岸田さん自身、入社当時はまったく関心がなかった労働組合に意識が初めて向いたきっかけは長女の出産・妊娠だったという。

 「入社後最初の仕事はカメラマンでそれこそ女1人でした。制作技術の社員としては最初の女性カメラマンで、2人目はいまだにいないんです。主に『FNS歌謡祭』や、『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』などの音楽番組や格闘技中継などを担当したのですが、周りのスタッフにも恵まれてとても楽しかった。

 ところが入社4年後に結婚した後に異動を命じられて、制作の最前線から離れることになりました。異動の後に上司から『これから子どももできるし大変だろうと思って』という旨を言われましたが、今思えば結婚しても異動を望んでいなかったことを、日ごろからはっきりと伝えるべきだったと思っています

フジテレビジョン ニュース総局メディア・ソリューション部の岸田花子さん。1995年にフジテレビジョンに技術局のカメラマンとして入社。現在はライブ番組のインフラ整備を担当
フジテレビジョン ニュース総局メディア・ソリューション部の岸田花子さん。1995年にフジテレビジョンに技術局のカメラマンとして入社。現在はライブ番組のインフラ整備を担当