大学受験のシステムは親の時代からは様変わり。東京大学でも2016年度から推薦入試(現在は学校推薦型選抜)が全学部で行われ、毎年100人弱が推薦で入学しています。東大の教育課程に適応しうる学力を有し、特定の分野や活動に対して卓越した能力、関心、意欲を持つ志願者を求めるという入試を突破するのはどのような生徒なのでしょうか。そこで難関大の推薦入試に詳しい学習塾Dear Hope塾長の伊藤智子さんと、その教え子で、東大推薦に合格した2人の現役東大生との座談会を開催しました。後編では、東大推薦を受験しようと思った経緯や入学してみての感想、学校推薦型選抜への適性、親の心構えなどについて、話を聞きました。

【東大推薦座談会】
【前編】 東大の推薦に合格した2人に聞く小中学校時代の過ごし方
【後編】 東大に推薦合格 受験勉強中、役に立った親の関わり方 ←今回はココ

(右)宮島梧子(ここ)さん 中高一貫校を卒業。2021年に学校推薦型選抜で教育学部に合格し、東京大学文科Ⅲ類に入学。塾に通わずに東京大学を目指していたときにDear Hopeに出会い、高3の冬に受験カウンセリングを利用。現在はDear Hopeで講師として活躍中<br>(中)伊藤智子さん 学習塾Dear Hope塾長。教え子の宮島さん、工藤さんが東大推薦に合格した<br>(左)工藤リサさん 中高一貫校在籍中の中学3年生終わりごろからDear Hopeに通塾。学校推薦型選抜、一般受験の両方から東京大学を目指す。22年に学校推薦型選抜で東京大学理科Ⅰ類・工学部に入学。建築家を志している
(右)宮島梧子(ここ)さん 中高一貫校を卒業。2021年に学校推薦型選抜で教育学部に合格し、東京大学文科Ⅲ類に入学。塾に通わずに東京大学を目指していたときにDear Hopeに出会い、高3の冬に受験カウンセリングを利用。現在はDear Hopeで講師として活躍中
(中)伊藤智子さん 学習塾Dear Hope塾長。教え子の宮島さん、工藤さんが東大推薦に合格した
(左)工藤リサさん 中高一貫校在籍中の中学3年生終わりごろからDear Hopeに通塾。学校推薦型選抜、一般受験の両方から東京大学を目指す。22年に学校推薦型選抜で東京大学理科Ⅰ類・工学部に入学。建築家を志している

東大の学校推薦型選抜の魅力は2つ

編集部(以下、略) ここからは東大の学校推薦型選抜や受験について伺っていこうと思います。まずは伊藤先生、東大を学校推薦型選抜で目指す魅力とは、どのようなことでしょうか?

伊藤智子さん(以下、伊藤) システムとしての魅力とプロセスとしての魅力の2つがあると思います。

 東大は一般入試の合格発表は、文科一類、理科一類のように科類で発表されますが、学校推薦型選抜での入学者は、法学部や経済学部、文学部、理学部、農学部、工学部などの学部での合格発表となります。通常であれば2年生後半の進学振り分けを経てから自分が興味関心のある、深めたい学びを履修するようになるところを、学校推薦型選抜による入学者は入学後すぐに履修できます。そこがシステム上の魅力です。

―― 最初から専門的な分野を学べるのですね。プロセスとしての魅力とは、どんな点でしょうか?

伊藤 学校推薦型選抜を受けることで、今まで自分が何をしてきて、何を考えていて、大学ではこういうことを学びたい、社会に出たらこういうことをしたい、ということを一生懸命考える機会を得られるという点です。それによって、自分の目的や目標をハッキリと言語化できるようになります。

 これからの時代のキャリア形成は、先が見えないことばかりです。自分で自分の道を切り開いていかなくてはなりません。学校推薦型選抜を受ける過程で自分を表現できる力を身につけられるのは、その後の人生においても役立つと思います。

伊藤智子さん
伊藤智子さん