OECD(経済協力開発機構)が各国の15歳を対象に実施するPISA(生徒の学習到達度調査)の2018年の調査では、日本の「読解力」の国際的な順位が前回の8位から15位へと大きく下がりました。また、「22年度全国学力・学習状況調査」では、記述式設問の正答率の低さが目立つ結果となりました。日本の子どもたちの読解力や記述力が低下しているのはなぜなのか、これらの力を身につけるために家庭では何ができるのかについて、秋田大学名誉教授の阿部昇さんに聞きました。
<学力上位県の秘訣 秋田大学名誉教授インタビュー>
【前編】学力上位県 秘訣は「探究型授業」と「家庭学習ノート」
【後編】低下する子どもの読解力と記述力 家庭でできる対策は? ←今回はココ
「より深い読解力」に必要な力とは
「読解力」と「記述力」。こう聞くと別々の力だと考えがちですが、この2つの力は密接に関連していると、約40年にわたって小中高の授業の研究を行ってきた阿部昇さんは言います。
「記述力というのは、自分の思考のプロセスを説明する力です。自分の思考について記述する前段階としては、何を問われているのか、求められているのかを正確に理解する読解力が必要になります。
日本では、読解力というと、文章の内容を正確に理解できる力を意味するという認識が一般的でした。しかし、国際標準で求められるのは、そのような表層理解ではなく、より深い読解力です」
阿部さんの言う「より深い読解力」とは、具体的にどのような力なのでしょうか。
「まずは、与えられた文章の中から必要な情報を取り出したり、複数の情報の違いや共通点を見抜いたりする力が求められます。それに加えて、筆者はその文章を通じて何を言おうとしているのか、その主張を伝えるために筆者はどのような工夫をしているのかといった理解が、深い読解力に欠かせません」
そして、より深い読解力のベースとなる、ある思考力が日本の子どもたちに一番欠けていると阿部さんは言います。その力とは何でしょうか。

・家庭で大切にすべきは、子どもの「○○」
・読解力を養うため、わが子に日ごろから伝えておくことは
・親世代と子ども世代の教育内容、一番大きな違いは
・記述力を底上げする家庭での親の声かけ
・子どもが自分の思考をクリアにするために必要な学びは