連続起業家・孫泰蔵さんに聞く子育て・教育論。中編の今回は、孫さん自身が自分の親から受けた子育て・教育について語ってもらいました。何事も「褒めまくってくれた」という両親。それが孫さんの自信につながったことは確かだと感じているものの、孫さんはどの子どもにもその方法が通用するわけではないと言います。
前編 本を300冊読んで教育について考えてみた
中編 孫泰蔵 とにかくわが子を褒めまくる親に育てられた ←今回はココ
後編 親子の対話では答えを先に言わないほうがいい
日経xwoman DUAL(以下、略) 前回は、「どうして学校に行かなければいけないの?」という疑問から、教育の成り立ちなどについて書かれた古今東西の本を300冊読んで考えたというエピソードについて聞きました。今回は視点を変えて、孫さんご自身がどのように育てられたのかについて、聞いていきたいと思います。東京大学を卒業し、連続起業家となった孫さんを育んだご両親の教育方針はどのようなものだったのですか?
孫泰蔵さん(以下、孫) 教育方針ですか? 教育方針は「ない」ですね。
―― なかったんですか?(笑)
孫 特になかったと思いますよ。ただ、覚えているのは、とにかく褒め殺しかと思えるくらい褒める親でした。
例えば、学校で10問くらいの小テストってあるでしょ? ちょっと勉強すればすぐ満点が取れるような。で、満点を取って、親に報告したんです。「俺、満点取ったよー」って。すると、うちの親は「すごか! 天才じゃなかろか?」って大げさに言うんです。
他にも授業で描いたスケッチを見せると「ピカソのごたる(よう)!」なんて褒める(笑)。でも、あまりに不自然だから小学校3年生くらいになってくると分かるんです。「俺そんなにすごくないよ」って。でも、毎回、まるで林家ペーさん、パー子さんのやり取りみたいに褒めてくる。

そうすると、違和感を抱きつつも、やっぱりうれしいわけです。で、気が付いたら頑張ろうとしている。兄貴たちも同じように褒めまくっていたみたいです。
―― それは、孫さんを頑張らせるためにご両親が褒めまくっていたということでしょうか?