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中学受験をしなかったから持てた「新聞から学ぶ時間」

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「子どもの興味を広げたい」「読解力をつけさせたい」などの理由から子どもに新聞を読んでほしいという親は多いでしょう。でも、興味を持ちそうな記事の切り抜きを渡しても子どもはスルー、リビングには子ども新聞が積み上がっているということになっていませんか? そんな悩める親たちの参考になるのが、リクルート スタディサプリ教育AI研究所所長の小宮山利恵子さんが経験した、長男と新聞の出合いとその後の付き合い方です。小学校高学年まで新聞に全く興味を持たなかった長男が、親のある行動をきっかけに全ページを読むまでになった経緯や、小宮山さんが行ったサポート、子どもが紙の新聞を読むことの効果について聞きました。

「株式欄に知っている会社。数字の意味は?」が入り口

 現在中学3年生の小宮山利恵子さんの長男が紙の新聞を読むようになったのは小学校5年生のときです。きっかけは、小宮山さんの夫が見ていた株式欄でした。「会社名と数字ばかりが並んでいるページをパパがじっと見ている。よく見たら自分が知っている会社の名前もある。数字には何の意味があるの? と思ったようなのです」と小宮山さんは当時を振り返ります。

 そんな疑問から長男は新聞の株式欄を眺めるようになりました。そこで、もともと株式投資を行っていた夫は、家にあるお茶や車の会社の株を購入。すると長男は、身の回りにあるものの会社の株価が日々変わっていくことを自分事として見るようになったそうです。

 株価に関心を持った長男は、始値、終値、高値、安値のグラフを自分のノートに作るようになります。実は、ネットを見ればグラフも出ているのですが、小宮山さんは「手を動かすことが大切だ」と思って初めは教えなかったそうです。

 株式欄だけを見ていた長男は、やがて他のページもパラパラと見始め、「自分の知らないことがたくさん書いてあるな」と社会面や文化面も読むようになりました。続いて国際面へ。小学5年生でまだ読めない漢字もあったので、小宮山さんが隣に座りサポートをしていました。登校前の30分ほど、親子で新聞を読む習慣ができたのはその頃からです。小宮山さんが「この記事を読みなさい」と指示をすることはなく、長男に任せて読む面を徐々に広げていった結果、最後に読むようになったのが1面でした。

 「大人だったらトップニュースが載る1面は絶対に読むでしょう。しかし、そんな常識を知らない息子にとって1面は最後なのか、面白い読み方をするなと思いながら見ていました」(小宮山さん)

 いろいろな種類の記事がある中で、長男が特に関心を持ったのがお悔やみ欄(死亡記事)でした。特定の人が亡くなったときに、死亡日、葬儀の詳細などが掲載される記事ですが、長男は「日本では毎日何千人も死んでいるのにどうしてこの数人しか載っていないのだろう。どういう基準で掲載されるのだろう」と疑問を持ったのです。親子で出かけた旅先で見た地方紙と、朝、家で見てきた全国紙では掲載されている人が違うことを指摘したこともありました。そんな様子を見た小宮山さんは、新聞を読むようになった長男のアンテナが高くなっていることを感じたといいます。

写真はイメージ
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