この連載では、各分野で活躍している人たちに「人生を左右した決断」についてインタビュー。今回登場するのは、Instagramに投稿しているネタ動画「東京CAと大阪CAの明らかな違い」などが人気のお笑い芸人・CRAZY COCO(クレイジー ココ)さん。外資系航空会社のキャビンアテンダント(以下、CA)をしていた彼女は、なぜお笑い芸人になったのでしょうか? 決断するときの軸や今後の目標についても聞きました。
(上) 商社→CA→芸人 一度試験落ちたCA、でも諦めず
(下)「死ぬかもしれない」35歳でCAから芸人への転身決意 ←今回はここ
コロナで死を意識して、お笑いの道に進むことを決意
編集部(以下、――) 4年半続けた外資系航空会社のCAを辞めた理由は何だったのでしょうか?
CRAZY COCOさん(以下、COCO) 理由は2つあって、1つは私がCAになる前から胃がんなどを経験していた母の体調が悪くなって、そばにいないと何かあったときに後悔するなと思ったからです。もう1つは、いずれは日本で仕事をしたいと思っていたんですが、35歳を超えてからの転職は厳しいのかなと感じて、35歳になる前に退職して日本に帰国することにしました。
日本に帰国後は、英語学習のコンサルタントや総合商社での海外営業、外国人の就労サポートの仕事などをやっていましたね。
―― そこからお笑い芸人を目指したきっかけは?
COCO 2021年に新型コロナウイルス感染症にかかって入院したことがきっかけです。39.5度くらいの熱が1週間ほど続いて、その場にいるはずのない母の幻覚を見るくらい意識がもうろうとして。しかも、1週間後に1回熱が下がったのに、その2日後くらいにまた39.5度くらいまで熱が上がったんですよ。あのときは「脳が腐ってるかもしれん」と思うほどつらかったですね。
―― 「死ぬかもしれない」という怖さがあったそうですね。
COCO はい、ありましたね。高熱が下がったあと友達に連絡をしたら、その友達の20代の後輩が、コロナで亡くなったという話を聞いて。「自分も死ぬ可能性があったんや」「自分だけは大丈夫なんていう考えは通用しないんや」と思うと、言葉にできない怖さがありました。それで、入院中に自分の人生についてじっくりと考えて、「明日が来るのは普通のことじゃないから、これからは自分が本当にやりたいことをやっていきたい」と思ったんです。
―― それでお笑いの道に進もうと思ったのですか?
COCO はい。入院中に自分と向き合って、「私は自分が表現したもので人に喜んでもらうのが生きがいなんやな」と気づいたんです。
というのも、もともと私は学校の文化祭で出し物をやるのが好きやったし、なぜか友達の結婚式の余興を頼まれることも多くて。過去を振り返ってみると、自分が表現したもので人に喜んでもらうことと、お笑い芸人やエンターテイナーとして生きることが結びついたので、「実は私、そういう世界で生きたかったんやな」って分かったんです。
―― その後、どういうステップで吉本興業に所属することになったのでしょうか?