時に迷い、立ち止まりながらも、自分流の働き方や幸せを模索している働くママたち。今回登場するのは、化粧品メーカーで働く伊藤由利子さんです。伊藤さんは6歳の娘と3歳の息子、そして夫の4人家族。今は仕事に子育てにと充実した日々を送る伊藤さんですが、第1子の妊娠中、「1人で頑張って子どもを育てなければならない」という呪縛にかかり、産後は頑張り過ぎて疲弊。育休からの復帰後も寝不足で思うように力を発揮できず、仕事でも空回りの日々でした。そこからどのように自分を取り戻していったのでしょうか。前後編で詳しく聞いていきます。
(前編)育休明け、好きな仕事なのに力出せない自分に涙 ←今回はココ
(後編)育休中に親子科学実験教室を立ち上げ、好循環に
◆今回登場するワーママ:伊藤由利子さん
年齢:36歳
仕事:短大卒業→大手化粧品メーカー(研究アシスタント)→大学編入→化粧品メーカー(研究開発→薬事担当)
住まい:栃木
子ども:6歳の娘、3歳の息子
◆「わたし流」の働き方をかなえるためにした選択
選んだこと…人に委ねること・みんなでの子育て
やめたこと…1人で頑張ること・ひとりぼっちの孤育て
化粧品の研究員に憧れ大学に編入
短大で栄養学を学び、サプリメントの研究アシスタントの募集を行っていた大手化粧品メーカーに就職しました。栄養畑の道を進もうとしていた私ですが、就職後配属されたのは、シャンプーやトリートメントといったヘアケア製品の開発部署。この予想外の配属が私の人生を大きく変えるきっかけとなりました。
配属後は、研究アシスタントとして、研究員のサポート業務に取り組みました。ヘアケア製品のサンプルを作製し、泡立ち評価や使用感触調整、安定性試験などビーカースケールの試作から工場で量産するときの大きなスケールの検討まで製品づくりにダイレクトに関わるようになる中で、心奪われたのが、中心となって研究開発を担う研究員たちの姿でした。
時間が経っても成分が分離するようなことはないか、香りの変化はないかなど設計した品質が保たれているか、どのような製造工程が適切か。当たり前のように日々使用している商品が、こんなにも時間をかけ、地道な作業の繰り返しによってつくられていることに驚くと同時に、この製品を手にする人の笑顔のために実直な努力を重ねる研究員の仕事に憧れを抱くようになりました。
私も研究開発に携わるメンバーの一員になりたいという思いを強め、3年目にして会社を退職。研究員になる夢をかなえるために、化粧品学(コロイド界面化学)を学べる大学に編入しました。
大学では化粧品では欠かすことのできないコロイド界面化学を中心に「化粧品材料化学」について学び、卒業と同時に現在勤める化粧品メーカーに研究開発職として就職しました。