時に迷い、立ち止まりながらも、自分流の働き方や幸せを模索している働くママたち。今回登場するのは、長年勤務した人材会社を退職し、今年(2022年)の春から夫の赴任先の中国・上海で、キャリアコンサルタントのスキルを使ってプロボノ活動を行う関小百合さんです。関さんは夫と4歳の娘の3人家族。長年勤めた企業を退職し、上海に渡ったことを「最良の決断だった」と振り返ります。いかなる環境でも自分らしく活躍し続けるために、どのような努力や工夫をし、経験を重ねてきたのでしょうか。

(前編)「育休中で仕事がない私の存在とは?」と悩んだ日々
(後編)パラレルキャリアで「家族で暮らす選択」が可能に ←今回はココ

◆今回登場するワーママ:関小百合さん
年齢:35歳
仕事:フリーランスのキャリアコンサルタント
新卒で大阪の印刷会社勤務
→転職でリクルートキャリアコンサルティングに勤務
(この間、パラレルキャリアとして、個人でもキャリアコンサルタントとして仕事を請け負う)
→フリーのキャリアコンサルタントとして独立
(現在は中国でプロボノ活動に取り組む)
住まい:中国・上海
子ども:4歳の娘

◆「わたし流」の働き方をかなえるためにした選択
選んだもの…自分がやりたいこと
諦めたもの…あらゆる環境変化にあらがうこと

 ワーママに対する社会の逆風の中、まだまだ働き続けたいともがき、激しく揺れ動いた不安定な20代後半を経て、29歳で娘を妊娠・出産した関さん。かわいい娘が生まれ幸せを感じる一方で、家事・育児に率先して取り組む夫を横目に「育休中で仕事がない私は何をすればいい存在なの?」とモヤモヤの渦に入ってしまったといいます。

あなた母親なんだから、母乳で育てなさいね

 育休に入り、出産前に得ていた「自分の人生を生きている実感」を失ったと感じた私にさらに追い打ちをかけたのが、各所から聞こえてくる「母親プレッシャー」でした。電車の中で見ず知らずの人から「あなた母親なんだから、母乳で育てなさいね」「3歳までは母親が育てないと、子どもがかわいそうよ」と話しかけられるなど、社会が求める母親像に大きな違和感を覚えるようになりました。

 母乳でなければ、3歳までは……などと、「良き母」であることを求められモヤモヤする日々。そんな中でたどり着いたのが、「社会に求められる枠にはまれないとモヤモヤするのではなく、自分らしく生きていきたい」という思いでした。私にとって「自分らしく生きる」とは、大好きな仕事をすること。育休中の今こそ、会社の枠を抜け出し、より自分らしいキャリアをつくり出すチャンスだと思うようになりました。