NHK「ニュースウオッチ9」で気象キャスターを務め、2021年に放映されたNHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」でも気象考証を担当した斉田季実治さん。防災士や危機管理士、星空案内人などさまざまな顔を持ち、プライベートでは男の子3人のパパでもあります。連載最終回は、夫婦でキャリアを描くことの大切さ、そのために必要なコミュニケーションの取り方について聞きました。

【気象予報士 斉田季実治 子どもと空を見上げてみたら】
第1回 斉田季実治 親子で空を見上げ、天気の不思議を楽しもう
第2回 公的サイトは災害情報の宝庫 子育て世代こそ活用を
第3回 「宇宙天気予報」 未来に備えて親子で学ぶ機会を
第4回 秋・冬の空観察 5円玉の穴から満月を見てみよう
第5回 斉田季実治 のめり込む親の姿から子の興味が育つ

「ファミリーキャリア」を重視しながら、働き方を変えてきた

 こんにちは。斉田季実治です。私は2019年9月から、妻と一緒にオンラインで「ファミリーキャリア」を考える講座(ゼミ)を開催してきました。ファミリーキャリアとは、家族の長期的なあり方のことです。例えば、育児や介護など、その時々の優先事項をお互いに納得して進めることが大切です。それを考える上では、夫婦がコミュニケーションを取りながら、協力する=パートナーシップを築くことが欠かせません。

 気象の仕事をしている私が今、ファミリーキャリアの大切さを伝えていることには、私自身が妻と共にキャリアを考えてきたことが反映されています。

 私は大学時代に気象予報士の資格を取り、卒業後は北海道の放送局に入社しました。その中で報道記者として災害報道に携わるうちに、一度原点に戻ろうと思うようになって退社。福岡の民間の気象会社で、気象予報士として新たなスタートを切りました。

 妻と結婚したのはその頃です。その後、東京のNHK放送センターの気象キャスターオーディションに合格。2010年に東京に行くことになったとき、熊本県立大学で准教授として勤務していた妻は、第1子を出産して間もないころでした。

 このとき、私たちが出した結論は東京と熊本での別居生活でした。それは、相手が目標に向かって進むことを尊重するのが、私たち夫婦のその当時の答えだったからです。誰が、いつ、どのように働くか、家族の形、収入面も含めてファミリー単位でキャリアを捉えることが大事だと考えた末に決めたことでした。別居生活を約6年間続けながら話し合いを重ね、長男の就学をきっかけに家族一緒の生活に切り替えました。

 共働き夫婦が増え続けている現在、夫婦がお互いを尊重し合うことはますます大事になっています。その思いがゼミを開催し始めたきっかけです。妻は国際コーチング連盟(ICF)認定コーチでもあるので、私自身も妻に新しい面を引き出してもらいながらキャリアを築いてきました。

気象予報士の斉田季実治さん(右)。2019年9月から、妻の英子さん(左)と「ファミリーキャリア」を考えるゼミを開催してきた。写真提供/斉田さん
気象予報士の斉田季実治さん(右)。2019年9月から、妻の英子さん(左)と「ファミリーキャリア」を考えるゼミを開催してきた。写真提供/斉田さん