男性育休の周知・意向確認が企業に対して義務付けられ、「産後パパ育休」(出生時育児休業)も導入された今は、まさに男性育休時代です。いつ、どのように取るか、職場にどう伝えようか悩んでいる方も多いでしょう。管理職として、部下の男性をどう送り出したらいいか気になっている人もいるかもしれません。そこで、インクルージョン&ダイバーシティの取り組みとして、ワーキングペアレンツ支援に取り組んでいるアクセンチュアの育休取得パパやイクボス、ダイバーシティ推進者に、それぞれの視点からのノウハウや体験談を聞きました。

支援では対話を重視。働く親の背中を押す場にもなっている

 2022年11月26日(土)にWOMAN EXPO 2022 Winter のセミナー「第4回 Working Parents Forum『男性育休時代』到来! 先進企業に見る制度とマネジメントノウハウ」がリアル開催されました。第1部「進化し続けるアクセンチュアのワーキングペアレンツ支援」で講演したのはアクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部マネジング・ディレクターの市本真澄さん。2人の子を育てながらキャリアを重ねてきた経験を生かし、5年前に子どもを持つ社員向けの復職支援プログラムを展開し、インクルージョン&ダイバーシティを推進しています。

<b>市本 真澄さん</b><br>アクセンチュア株式会社テクノロジー コンサルティング本部 マネジング・ディレクター<br>ハイテク企業を中心としたITコンサルティング、システム導入・保守を担当。現在は、アクセンチュアにおけるインクルージョン&ダイバーシティ担当として、障がいのある社員の雇用や人材育成の取り組みを推進。Gender Equality(ジェンダーに起因する差別の廃止)の活動においては、性別に関わらず、子どもを持つ社員向けの復職支援プログラムを展開。この活動によりYahoo Financeの「The HERoes Women Role Model Lists 2020」に選出
市本 真澄さん
アクセンチュア株式会社テクノロジー コンサルティング本部 マネジング・ディレクター
ハイテク企業を中心としたITコンサルティング、システム導入・保守を担当。現在は、アクセンチュアにおけるインクルージョン&ダイバーシティ担当として、障がいのある社員の雇用や人材育成の取り組みを推進。Gender Equality(ジェンダーに起因する差別の廃止)の活動においては、性別に関わらず、子どもを持つ社員向けの復職支援プログラムを展開。この活動によりYahoo Financeの「The HERoes Women Role Model Lists 2020」に選出

 同社のI&Dの取り組み領域の一つであるジェンダーは女性特有の課題に向き合うことからスタートしましたが、現在は性別に関わらず、男女共通の課題やワーキングペアレンツ支援などジェンダー・イクオリティを目指した活動として推進されています。ワーキングペアレンツ向けプログラムでは「対話・ネットワーキング・個別相談」の3つを含めた体制で支援をしています。

 「ネットワーキング」はワーキングペアレンツ社員を中心に2,000名以上が参加する社内SNSのこと。情報共有、相談、ネットワーキングの場として活用されています。「個別相談」は、外部の育児専門家や保活支援サービスとも連携しながら子育てや教育の悩みを解決できる場のことです。

 また、育休取得者が復職する前後に「対話」を重視しており、支援プログラムには数回の面談が取り入れられています。

 「これは、プログラムを立ち上げる際にぜひとも取り入れたかったことです。面談では復職者本人、配属に携わる組織長、ピープル・リードと呼ばれる社内でのキャリア形成を支援する社員、先輩ワーキングペアレンツ、人事担当者の5者が出席します。そこで、復職者がこれからどんなキャリアを築いていきたいか、どんなキャリアチャレンジができそうか、困っていることはどうしたら取り除けるかなどを話します。保育園の送迎、朝や帰宅後の家事・育児はだれがどのようにこなしているかなども、本人の共有できる範囲で細かく聞き出します。というのも今の組織長世代は、まだワーキングペアレンツの忙しさを身をもって知らない人が多いからです。この面談で認識をそろえることで、復職者も納得できる適切な配属につなげていきたいというのが、対話を取り入れたいと思った理由です」

 対話にはもうひとつ目的があると市本さん。

 「復職者本人がワーキングペアレンツも新しい領域や難しい業務にチャレンジしていいと自覚する機会にしたいと思っています。復職後はどうしても不安があり、チャレンジに消極的になりがちです。しかし、長いスパンで見ると、本当に多忙なのは一時期。そこで、面談では、細くてもいいから長くチャレンジをしていこうと伝えて背中を押すことも大切にしています」