育休取得の成否を決めるのは準備。自分にとっての最適を考えて
第2子が誕生後に2年間の育休を取得した三上さんも育休を意識していなかった一人です。「1人目の時は育休を取ることは考えていませんでした。第1子の育休検討の際、妻から『1人目は私が育休を取るけれど、2人目は交代ね』と言われて初めて育休を取るという選択肢を意識したくらいです」と明かします。

アクセンチュア株式会社インダストリーX本部 コンサルタント
2016年にアクセンチュアに入社。IT・通信・製造業等の業務コンサルティング、サービス企画・運用支援、R&D業務支援等を担当。アクセンチュアにおけるインクルージョン&ダイバーシティ活動のメンバーとしても活動中。第2子が誕生から2年間の育休取得後に復職。現在は短日短時間勤務の制度を利用中。整体とマッサージが癒し時間
妻の「プラン」通り、第2子の誕生後は、妻が早めに職場復帰。三上さん1人で2人の子を世話をすることになりました。その後、下の子の保育園入園が無事に決まり、三上さんも復職を予定したときにコロナ禍で保育園が休園に。そこで育休を延長した結果、2年間の取得になったそうです。
その2年間は「人生曲線で言うとグラフが振り切れるくらい、幸せな時間」だったと言うほほ笑む三上さん。上手な取り方としては、準備が大切だとアドバイスします。
「育休は、妊娠が判明した時点でいつごろから、どのくらい取得するかが分かります。そのときから、どう子育てするか、住まいや保活までを考えて準備することでうまくいくと思います。上司にもできるだけ早く伝えることが大切です」

三上さんは、復帰後は短日短時間制度を利用し、退勤時間を1時間早くしています。1時間というと短く感じるかもしれませんが、大きな効果があると実感しているのだそう。
「時短という制度を使っていることで、早く帰ることに対して強い気持ちがあることを、客観的に分かりやすく伝えられます。育児中と言っても、主語が男性か女性かでは受け取られ方が違うことがまだあるので、システムを利用して伝えるのは効果的だと思います」
市本さんも「本来は時短ですと言わなくても勤務時間をコントロールできるのが望ましいのですが、今のような過渡期においては、時間をコントロールできる制度を用意しておくのがいいと思います」と話します。
三上さんは、最後に「企業が男性育休の取得率を上げようという目標に向かい、制度を整えることは大切です。しかし、ワーキングペアレンツ個人は、自分たち家族にとっての『最適な育休』は何かを考えて、制度を利用するのがよいと思います」と話しました。
羽生も「確かに企業は数字を気にすることがありますが、それだけでチームがイノベーティブになるとは限りません。ワーキングペアレンツの活躍には、面談や1on1での対話を重ね、個人のスタイルをつくることが大切ということが分かりました」と述べて、セミナーは終了しました。
取材・文/福本千秋 撮影/辺見真也