目の見えない人たちの「声の表現の豊かさ」に気づく

 私自身は演劇部の顧問をしていて、毎年、視覚特別支援学校との演劇ワークショップを行っています。
 年に一度のことなので、最初はちょっと緊張するし、何か特別な配慮をしたほうがいいかな、とつい考えたくなってしまうんですね。

 でも、実際にやってみると、そんな必要は全くありません。配慮なんかしなくても、生徒も私も自然に話し合いを行い、一緒にシーンを創り上げていく。

 そういったなかで、たとえば目の見えない人たちの声の表現の豊かさに気がつくことがあります。人と人との間にある距離感や空間の広がり。「そこまで声で表現できるんだ」……その発見や心の揺れが、今度は見える生徒たちの表現を豊かにしていく。

 異なる者同士が触れ合うことで、新しい何かが生まれてくる。ここで紹介した二冊は、読書を通してそのことを体験させてくれる本だと思います。

 ちなみにこの本は、どちらも図書館の「養護の先生のお薦め本コーナー」に並んでいます。特別支援学校の児童生徒と触れ合う機会があり、図書館へ行けばこういう本棚がある。こういう環境が、学校全体の安心感にもつながっていると思います。

 図書館には、養護の先生だけではなくあちこちに「〇〇先生のお薦め本コーナー」があり、司書さんがつくったPOPが置かれていてけっこう注目されています。

 生徒たちは「何か面白いもの」をいつも読みたがっているとお話させていただきましたが(筑駒教諭 「読み終えたら、世界の見え方が変わる」)、筑駒の図書館は司書さんのおかげで、ふらっと立ち寄れば「面白いもの」に出合える環境がいつも整っています。

「筑駒の図書館には、あちこちに『先生のお薦め本コーナー』があり、司書さんがつくったPOPが置かれていてけっこう生徒に注目されています」
「筑駒の図書館には、あちこちに『先生のお薦め本コーナー』があり、司書さんがつくったPOPが置かれていてけっこう生徒に注目されています」

理想は「君にピッタリの本がここにあるよ」と手渡すこと

 そんな彼らと本とのいい出合いをどう作り出していくか、これは僕ら国語の教員にも課された大切な仕事だと思います。

 それもあって、私は最近「リーディングワークショップ」という、図書館で読みたい本を個別に読む授業に挑戦しています。

 この授業の一番のポイントは選書。自然に選べる子は放っておいても自分で探り当て読み進めるのですが、自分が何を読みたいのかわからない、読みたいイメージはあるけれど、どれを選べばいいかわからない……こういう子たちそれぞれに合った本をどうマッチングさせるか。

 事前に一人ひとりコメントを書いてもらい、本選びに迷っている子、悩んでいる子には積極的に声をかけて話を聞いて、一緒に書架を巡ります。

 理想は、「君にピッタリの本がここにあるよ」と、迷いなく本棚から一冊の書物を引き抜いて手渡すこと。ああでも、これってすごくむずかしくて、生徒一人ひとりの興味や好みもあるし、なによりこちらの読書の量というか分厚さが試される。

 その意味では私は全く十分とは言えず、試行錯誤の連続なのですが、それでも、あるんですよ、選んであげた本が「ドンピシャでよかった!」ということが。選んだ本の世界にのめり込んでいる様子が見えたり、「この本、めっちゃ面白かったです」と言いに来てくれたり。こういうときは、本当にうれしくて。

「図書館にはカーペットを敷いたスペースもあり、床に座ったり、寝転んだりして、ゆったりとくつろぎながら本を読むことができます」
「図書館にはカーペットを敷いたスペースもあり、床に座ったり、寝転んだりして、ゆったりとくつろぎながら本を読むことができます」