世の中の食いしん坊たちから熱烈な支持を集めるarikoさん。簡単だけど、凝って見える。斬新な組み合わせで、いつもの味に変化が起こる――。そんなarikoさんのレシピとアイデアから今の気分にぴったりな“おいしいおすそわけ”をお届けします。今回のテーマは、寒い冬に体を芯から温めてくれるおかゆ。シンプルになりがちなおかゆも、arikoさんをまねしてちょっと工夫すれば、心も満たされる逸品に変身します。
年初めのおかゆは「べっこうあん」でおめかし
クリスマス、お正月とごちそう続きの年末年始を過ごして、胃袋が疲れてきたなと思う1月7日、「人日(じんじつ)の節句」でいただくのが七草がゆです。皆さんは、今年も食べましたか? 七草がゆを食べることで無病息災を祈り、お正月のごちそうで疲れた胃袋を休ませるといわれています。わが家では、このタイミングだけでなく、冬場は何度となく食卓におかゆが登場します。年始めは、七草がゆならぬ「二草がゆ」からスタート。
七草がゆに使うのは「ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、せり、なずな」この7種類で、スーパーにはこの7種を詰め合わせたセットが並びますが、わが家では7種類をそろえることはなく、せりと、すずなと呼ばれるカブの葉っぱの2種類で作る「二草がゆ」が定番になっています。
それも生米から炊くのではなく、白飯を使って簡単に。熱々をいただきたいので1人用の小さな土鍋でめいめいに作ります。
水とごはんを入れて火にかけ、じっくりと炊きます。その間にせりは刻んでそのまま、カブの葉は刻んでひと塩してから出た水分をしっかりと絞っておきます。米が水分を含んでふっくらとしてきたら、カブの葉とせりをたっぷりと散らして、仕上げにべっこうあんをかけて完成。青菜に塩を使っているのでおかゆには味付けはしません。お餅が余っていれば香ばしく焼いて加えることも。
べっこうあんはだし汁にみりん、少量の砂糖、しょうゆで味付けして、水溶き片栗粉でとろみをつけたものです。淡泊な白がゆにシャキシャキとした歯応えの青菜、あっさりとした二草がゆに甘辛いべっこうあんをかけることでさらに口当たりよく、味にメリハリがついて最後までおいしくいただけるのです。
そこにおいしい梅干しと「まつのはこんぶ」(すっぽんのだしで炊いた塩昆布)、千枚漬けをお供に食べるのが至福のひととき。
思わず、「あー、おいしい!」と声が漏れてしまうほどじんわり染み入る味わいに体がリセットされたことを実感します。この習わしを毎年のお正月明けの楽しみにしています。