「また、子どもを怒鳴りつけてしまった!」。そんな後悔を繰り返していませんか? そこで、「たたかない、怒鳴らない、ポジティブな子育て」の子育てプログラムを提供しているポジティブ・ディシプリン コミュニティ代表理事の池田詩子さんに、そもそも子どもを怒鳴りつけてしまう理由や、怒鳴ってしまった後にすべきことを解説してもらいました。後編記事では、子どもへのケア、怒鳴る頻度を減らすために行うべき怒りの感情との付き合い方についても聞いていきます。

【年齢別記事 保育園のママ・パパ向け
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知らず知らずのうちに「孤」育てになりストレスを抱える親たち

 仕事が忙しい日の朝に限って子どもがかんしゃくを起こしたり、何度注意しても言うことを聞いてくれなかったり……。そのためつい大声で叱ってしまう。怒りをコントロールしようと思っても、いざとなると6秒数えるのは無理。次第に怒鳴る頻度が増えて、「子どものことは大切に思っているのに、このままだと虐待になりかねない」と悩んでいる親は多いようです。子どもに怒鳴ることをやめるにはどうしたらいいのでしょうか。

 2人の子を育てながら、東京を拠点に首都圏や東海圏で子育て支援活動に取り組み、多くの親の悩みに接してきた池田詩子さんは「子育てを頑張っているのに怒鳴ってしまう原因は、個人的な問題ではなく、子育てを取り巻く環境。親御さんたちが対応すべきなのは、『孤育て』と『子どものことを知らないこと』の解消です」と助言します。

 「怒鳴ってしまった後は、次の怒りに備えて『シミュレーション』をしておくことも必要です。詳しく解説していきましょう」


 共働きが多数派になっても、いまだに、多くの家庭で母親が育児や家事の主体になっています。そんな中で、知らない間に「孤育て」に陥っている母親が多いと池田さんは指摘します。働く親は「同僚がいるし、保育園でママ友や保育士さんとも会っているのに孤独だろうか?」と思うかもしれません。

 しかし、在宅勤務だと職場の他の人と雑談をする機会も減りがちです。保育園の送迎時も、時間に追われていると保育士とゆっくり話す時間は取りにくいものです。パートナーも帰ってくるのが遅かったり、お互いに在宅勤務でも多忙。夫婦間で業務連絡のような会話しかしていないということも多いかもしれません。

 話す相手がいたとしても「ダメな親と思われたくない」という気持ちから悩みやグチを言うこともできない。そのような状況が重なり「知らず知らずに社会的な孤独に陥っているママが多いのです」と、池田さんは働くママたちが「孤育て」になりやすい背景を説明します。

 「孤独は人にとって一番恐ろしいものの1つです。子どもを夫婦だけ、1人だけで育てることは今は当たり前のようになっています。しかし、集団で子育てをしてきた人間の歴史としては異例で過酷な状況です。ママたちは仕事面のストレスを受けている上に、『子どもをちゃんと育てなければ』という責任も常に背負っています。そのような状況で思うようにいかない子どもを相手にしたとき、気持ちが抑えきれなくなって怒鳴ってしまうのは誰にでも起こりうるでしょう。

 子どもを怒鳴らずにいられないのは、『誰か助けて。1人じゃ無理』というSOSです。ぜひ『孤育て』を解消することに対応してほしいと思います」。池田さんが提案する「孤育て」への対応法は、後ほど紹介します。

【この記事で読める内容】
●怒鳴ってしまう原因は個人的な問題ではない
・保育園に通い、夫婦で育てていても「孤育て」になっている
・子どものことを学ぶ機会がないため、過剰な期待を抱いてしまう
→対応法は?

●怒鳴ってしまった後にすべきこと
・怒鳴ってしまった状況をシミュレーションする
→シミュレーションの内容は?