低学年親の中には「進学塾で中学受験クラスがスタートする新小4になったときに中学受験を検討できるだけの学力を担保しておきたい」と思っている人は少なくないかもしれません。そんな中でわが子が「思ったほど学校のテストで点数がとれない」「成績が3段階の真ん中で大丈夫?」といったことから焦りを感じ、低学年のうちから補習目的で大手塾に通わせる家庭も一定数あるようです。新4年生の段階で出遅れないために、学習面で低学年の時期にできるのはどのようなことでしょうか。中学受験専門塾「伸学会」代表の菊池洋匡さんに話を聞きました。

【年齢別記事 小学校低学年のママ・パパ向け】
(1) 高学歴親がハマりがちな間違った早期教育が子を壊す
(2) 「出遅れに焦り、低学年からの進学塾通い」弊害は ←今回はココ
(3) 内気な子が生きやすくなるソーシャルスキルの高め方

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わが子にとって本当に必要なことは?

 周囲の子が塾通いを始めると親は焦りを感じますし、さらに大手進学塾に通い始めたという子がいると、「先々で大きく差がつくのではないか」「仮に受験を選択する場合、後れをとるのではないか」と不安を感じることもあるかもしれません。

 これに対して「まず親がすべきは、今わが子は何をする時期なのか、本当に塾通いが必要なのかを冷静に考えることです」と話すのは中学受験専門塾「伸学会」代表の菊池洋匡さんです。

 「親の焦りの原因は大きく2つあるように感じます。1つは『目下の子どもの成績が親の期待通りではない』ということでしょうか。成績が特別悪いわけではなくても、通知表の成績が『とてもよい』でないために焦ってしまうパターンですね。でも低学年の場合、通知表やカラーテストの結果の善しあしはさほど重要ではありません。大事なのは『なぜこの成績なのか』を冷静に分析し原因を把握することです。原因によっては、学校で少し後れをとっていたとしてもまったく問題のない子もいます。また、低学年の時期に、表面的な焦りからやみくもに塾通いをすることはむしろリスクになってしまう場合もあるので要注意です。

 さらにもう1つの原因は『現在特に学力に問題は感じていないけれども、このまま何もしないでいると周囲に後れをとるのではないか』という漠然とした焦りや不安ですね。これについて言えるのは、受験勉強がスタートする新4年生の時点で大事なのは先に進んでいることよりも、新4年生以降に伸びていく下地がつくれていることです」

 菊池さんによると、新4年生以降に伸びていくためには3つの要素があり、それらの要素を伸ばしていくために必要となる働きかけは、それぞれ異なるのだそう。

 ここからは、菊池さんに学校の成績に対する考え方や、後伸びするために低学年のうちから意識したい3つの要素の育み方、そして、子どもの能力を伸ばせる塾通いとリスクとなる塾通いの違いなどについて解説してもらいます。

この記事で読める内容
・「学校の成績が悪くても心配いらない子」ってどんな子?
・「焦りからの塾通い」にはどんなリスクがある?
・低学年のうちに身に付けておきたい3つの力とは
・低学年で大手塾通いに向いている子とは