「グズグズしないで」「早くしなさい」「宿題はしたの?」――。気づけば、子どもとの会話において小言や指示ばかり口にしてしまっている人は少なくありません。中には小言を減らそうと努力していても、なかなか減らすことができず、そんな自分に落ち込み、イライラして、さらに小言を言ってしまう、といった悪循環に陥っている人も。しかし、臨床心理士・公認心理師の中島美鈴さんは、「精神論で状況を改善しようとしてもうまくいきにくい。小言は仕組みで防ぐことがおすすめ」と話します。中島さんが提案する、小言を減らすのに有効な仕組みづくりについて、詳しく聞きました。

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小言を言い続ける状況を改善しなければ、思春期の親子関係に悪影響

 寝るまでにその日のタスクを終わらせることに必死になり、子どもと顔を合わせると「宿題は?」「水筒まだ出てないよ」「早くしなさい」……といった小言や指示ばかりが口から出てしまうという人もいるのでは。低学年家庭の場合、平日に親子が顔を合わせるのは朝の1時間と、学童からの帰宅後、寝るまでの3時間の計4時間程度。その時間の親子会話の大半が、親からの一方的な小言や指示で占められていては、親も子もストレスがたまるばかりです。

 「小言や指示は少ないに越したことはないですよね。小言や指示ばかりでは親も疲れますし、親が言い続ける限り、子どもも親の指示なしには動けない子になってしまうという悪循環になりかねません。何よりこの先にやってくる思春期の親子関係に影響するリスクもあります」と話すのは臨床心理士・公認心理師の中島美鈴さん。現在小学校6年生の息子を育てる母親でもあります。

 中島さんは、自身の子育て経験も踏まえ、子育てに認知行動療法を取り入れ、仕組み化する方法を提唱しています。

 「小言や指示を口にしないように気を付けていても、自分でコントロールするのは大変なもの。そこで有効なのが、課題を自分から一度切り離し、自分の外に客観的に見えるように置くことで解決を試みるという認知行動療法の技法の1つである『外在化』です。

 『つい小言ばかり言ってしまう』ことを自分自身の問題として考えると、親は苦しくなってしまいます。そうではなく、家族みんなの問題として、課題を外に出し、みんなで解決しようとするのがおすすめです」

 「外在化」の技法を応用した、小言を減らすための方法を、中島さんは「家族みんなで小言を減らそう大作戦」と命名。その具体的な進め方やポイントを聞いていきます。

脱・小言生活!「家族みんなで小言を減らそう大作戦」の進め方

1:親子で何をどうカウントするかを話し合う
2:子どもによる抜き打ち小言チェックを実施する
3:状況改善に向け、○○と○○○○化について親子で話し合う
4:2度目の抜き打ち小言チェックで改善状況を確認する
5:「ネクストステージ攻略」で、○○○○○を増やしていく