きょうだい育児をしている人は、きょうだい間で不平等にならないように配慮しているのではないでしょうか。けれども、きょうだいといえども年齢も性格も違う中で、習い事や教育環境、親と過ごす時間などをまったく同じにするのは現実的ではありません。親としては平等に接しているつもりでも、「妹ばかりズルい!」などと言われてしまう人もいるかもしれません。では子どもたち本人がきょうだいの間で「不平等だ」と感じるのはどんなシーンで、「きょうだい平等」にするために押さえるべきポイントはどこなのでしょうか。家族心理学を専門とする岩手大学教授の奥野雅子さんに聞きました。
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子どもたちの間で不平等感がある状況は、どんなリスクを生んでしまうのでしょうか。
奥野さんは、「不平等感を放置すると、きょうだい仲が悪くなる背景になり、さらには親子関係にも影響を及ぼす」と言います。
「きょうだい間に不平等感がある場合、まず『平等じゃない』と思っているほうは優遇されているほうを敬遠し、距離を取るようになります。すると、『優遇されている子どもと優遇している親がより親密になる』という状態になり、優遇されてないほうはもう片方の親と結託するなどして、家庭内で分裂状態になることもあります。こうなると、夫婦仲まで悪くなっていくという悪循環が起きてしまいます」
一方で、「きょうだいがお互いを理解し、共感し合えていると、仮に夫婦仲が一時的に悪化しても、健全な家族機能は保持される」という研究結果もあるそう。
習い事や教育にかける時間や金額について、きょうだいで差が出ないようにしようと考える親も少なくありませんが、「習い事や塾、学校などにかかる教育費や、親が教育に費やした時間が平等であっても、子どもは必ずしも平等だと感じるわけではありません」と奥野さんは言います。
きょうだいで不平等にならないために、親はどんなところに気をつければいいのでしょう。また、それでも発生してしまう不平等感を解消するためには何ができるのでしょうか。

・親が気づかぬうちに、「いい子」が不平等感を募らせていることも
・気づかず生まれるきょうだい間の不平等感を解消するために有効な2つの方法