「友人関係で悩んでいないだろうか」など、子どもの人間関係は心配事の一つです。それは子どもが高学年になっても変わりません。さらに高学年になると、子どもの友人関係が見えづらくなったり、子どもが「人からどう見られているか」を気にし、自己認識とのギャップに悩んでしまうなど、低学年の時とは違った心配事も出てきます。一方で、こうした人間関係に悩むことは、成長のための肥やしで、必要なものであるといいます。教育心理学を専門とする埼玉学園大学大学院教授、藤枝静暁さんに聞きました。
【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 高学年 理不尽な人間関係が対応の引き出しを増やす ←今回はココ
(2) 入試も有利に 高学年のディベート授業で身に付く力
(3) 親離れできない高学年 背景に高学歴親の存在
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高学年の人間関係の悩みは「他者視点の獲得」によるもの
「わが子は学校で問題なく過ごせているだろうか」「友人関係で悩んでいないだろうか」など、子どもの人間関係は心配事の一つです。それは子どもが高学年になっても変わりません。さらに高学年になると低学年の時とは違った心配事も出てきます。
高学年の人間関係における悩みや問題を理解するためには、「子どもの成長における発達段階を理解しておくと、落ち着いて対応できるようになります」と藤枝さんは言います。
「幼児期の子は、『友達も自分と同じことをしたいはず』などと、自分と友達を同質のものと捉えています。それが小学校の1、2年生くらいになると、『自分は砂場で遊びたいけど、友達はボール遊びがしたいのかも』と、自分と相手は違う思いを持っているのだと気づく。さらに3、4年生になる頃には、『今友達は悲しんでいるのかも』などと、目には見えない相手の気持ちに気づき、共感できるようになります。
そして、5、6年生になると、さらに抽象思考が進み、『相手が自分のことをどう思っているか』が分かるようになります。心理学ではこれを『他者視点の獲得』と呼んでいます」
この「他者視点の獲得」が、高学年の子どもが人間関係で疲れてしまう一因にもなるそう。「他者からどう見られているか」という他者視点と、「自分はもうちょっと評価に値するはず」という自己認識のギャップの大きさが悩みにつながるようです。また、他者から期待される姿を演じようと過剰に適応することで、のちに大きな問題に発展することも。
けれども、たとえ人間関係に悩み、疲れてしまったとしても、高学年の子どもは小さい頃のように、親を頼ってくれるとは限りません。親としても、どこまで口を出していいものか迷う気持ちもあります。そんなとき、親はどうすればいいのでしょうか。ヒントは、「家に帰ってだらだらしている子ども」の姿にあるようです。藤枝さんに聞いていきます。

・「他者視点」と「自己認識」のギャップに、子どもは悩み、疲れてしまう
・子どもから「序列意識」を感じたとき、親がすべきことは
・子どもの友人関係が心配なとき、子どもを尊重した伝え方のコツ
・人間関係の理不尽さにより、子どもは「対応の引き出し」を増やす